モンスターハーレム 第2章 50
「あれ相手ではオマエでもかなりのリスクを伴う。
それなら倒した後の脱出経路の確保に力を注ぐほうがよほど有意義だ」
「何だと・・・!?」
「確かにね〜。今のサークちゃんなら死んでも襲い掛かってきそうだもんね〜」
「オルゾス。気持ちはわかるが、ここは言うことを聞いてくれ。
信用できる連中の中で、1番攻守のバランスがとれているのはオマエなんだ。
頼むから、ミミたちのことを守ってやってくれ」
「・・・・・・!」
オレの頼みに、オルゾスの目の色が明らかに変わった。
しまった、またヤツのプライドを傷つけたか?
そう思った矢先、オルゾスが口を開いた。
「・・・チッ!いいだろう。貴様に免じて、今回は後方支援をやってやる。
私としても、貴様のせいで死ぬのはゴメンだし、同胞たる魔物たちを見殺しにできんからな」
オルゾスは苦々しくそう言うと、ぷいと顔を背けてしまった。
あー・・・これは機嫌を損ねたな。
と思った矢先、隣からキュリエルがトントンと指で肩をたたく。
見れば何やら楽しそうなご様子だ。
「・・・何だよ?」
「ぬっふっふ〜♪なかなかいいコに囲まれて幸せそうですな〜♪」
「・・・オマエ、いっぺん目ん玉診てもらえ。
どこをどう見れば幸せそ・・・イテッ!?」
痛みを感じて後ろを見れば、そこには戦力外通知された魔物のみなさんの責めるような視線が。
さらにその隣ではテスが捨てられた小動物みたいな視線で何かを訴えている。
な、何?私、一体何かしましたカ?
オレはすぐそこで命がけの戦いが行われているにもかかわらず、言いようのない恐怖を感じていた。
何か知らんが、早くこの空気を変えないと危険だっ!
「そっ、そんなことより!あのサークの不死身っぷりを何とかしないとなッ!?
キュリエル!テス!ホントにアイツのこと知らないのか?!」
「・・・いや、知らない。サークはほとんど前線に立たないで指揮官として動いていたし・・・」
「私も知らな〜い♪
サークちゃん、どんなにちょっかい出しても本気にならなかったしっ」
・・・サーク。今だけはあなたの苦労をお察しします。