モンスターハーレム 第2章 41
「おまっ・・・ナナリ!?何でオマエ、こんなところに!?」
オレのために反対派の連中の暗殺をしていたなどと知らないオレは、思わず驚愕の声を上げる。
落ちた衝撃で朦朧とする意識を鞭打ちながら、ナナリはオレの顔を見やる。
「ら・・・ぐ?ハッ!?いけないっ、みんな逃げろッ!!」
「え・・・!?」
一体どういうことだ、と言おうとしたその時、吹っ飛んだ壁の向こうから一筋の黒い影が飛び出した。
「グルオオォォアアァァッ!!」
それはオレに向かって一直線に向かって突っ込んできた。
オレはほとんど反射的に剣を振って応戦する。
それが結果的にオレの寿命をわずかに引き伸ばした。
ガキィンッ!!
「ッ!?」
甲高い金属音に驚きつつ、突っ込んできたものの正体を見てみると。
そこにはヒトの形をした獣のような女がよだれを垂らしながらオレをにらんでいた。
気づけばオレはその見知らぬ女とつばぜり合いを演じている。
ギリ・・・ギリ・・・!
すさまじい力の押し合い。な、何だ何だ?一体何がどういう理屈でオレはこの知らない女と命のやり取りをしてるんだ!?
「ラ、ラグ・・・そいつが、そいつがサークです!!」
ギリ・・・ギリ・・・
「てめえがサークとかいう狂者か・・・膂力でオレに勝てると思うなぁ!!」
オレは強引に剣で押し戻し、たたらを踏むように後退して動きを止めかけたサークにさらに。
「かあっ!」
口から青白い霧をぶつける。
「ウガアォ!」
今のは遺伝子を破壊する放射能線。だが遠くまで飛ばないので、踏ん張って再び突っ込んできた所に浴びせる。
だがバーサークしたサークは苦にした様子も無く再び襲い掛かってきた!!
「うおぉっ!?」
毒霧吹っかけたにも関わらず、サークの力はどんどん増し、少しずつ押し返されていく。
(こっ、この・・・!膂力で負けないと言った以上、ここで引くわけには・・・っ!!)
「おお・・・おっ!?」
オレは渾身の力で押し戻そうとした瞬間、急に抵抗がなくなり、オレの身体は簡単に前へと飛び出す。
そしてその前にはいつの間に構えたのか、剣斧とも言うべきバケモノのような獲物を上段に構えたサークの姿が。