モンスターハーレム 第2章 5
圧倒的不利な状況にいるのはキュリエルのはずなのに、誰一人としてその顔には余裕が見られなかったから。
一触即発のこの状況。
先に動いたのはやはりと言うか、キュリエルだった。
「う〜ん、この場でやりあうのはかまわないんだけどぉ〜。
私なんかにかまっていていいのかしら〜?」
「・・・どういう、ことだ?」
「私はただそのコと遊びに来ただけってことよ?」
「・・・ッ!?」
その言葉の意味を理解したサルスベリの顔が、瞬時にして青ざめる。
「・・・まさかっ!?」
「クスクス・・・。はい、時間切れ。
あなたたちはそこでおとなしく寝てなさい?」
パチンッ!
キュリエルが指を鳴らした瞬間、サルスベリたちはまるで酒に酔ったかのようにふらふらし始める。
「なっ!?お、おい、サルスベリッ!?」
「く・・・そ、しまっ・・・」
「おやすみなさい、眠り姫のみなさん♪」
キュリエルの言葉を合図にするかのように、サルスベリたちがバタバタと倒れていく。
オレは突然の事態にただ驚いて、それを見ることしかできなかった。
「て、テメエ!オレの女たちに何しやがった!?」
「ん〜?ちょっとジャマされないように眠ってもらっただけよ?」
「ンだと・・・!?」
戦る気か?そう思ったオレは思わず身構える。
しかしキュリエルはふっと微笑むと、無造作にオレとの間合いを詰めてきた。
「!?」
「まぁ、そんなにいきり立たない。
私はただ、君と遊びたいだけなんだから・・・♪」
あと数センチでオレと触れ合える距離まで来たキュリエルは、そう言って優しく微笑む。
その笑顔はまさしく『妖艶』の2つ名にふさわしい、妖しくも美しいものであった。
チュッ・・・
「!?」
「んむ・・・ちゅっ・・・ふっ・・・♪」
キュリエルは突然オレの唇を奪うと、激しく舌を絡めだす。
今までオレも幾度となく女とキスしてきたが、そいつらのとは比較にならないくらい情熱的で官能的なキスだった。
蕩けるような快感に、オレの理性はボロボロと崩れていく。
しかし相手が将軍で、何を考えているのかわからないという不安が、すんでのところでオレを正気に戻した。
オレはこのままキスを続けたいという欲望に必死に抗いながら、ムリヤリキュリエルを引っぺがす。
「あンっ!?何・・・?キスじゃもう物足りなくなったの?」
「いやオレとしてはもっと楽しみたかったんだけど・・・じゃない!
何なんだ、おまえは!?
いきなり1人で敵の本拠地に突っ込んでくるわ!
訳のわからないこと言って、いきなりものすごいキスをかましてくるわ!
一体何が目的なんだ、オマエはッ!?」
うっかりキスに感想をもらしながらも、何とか肝心なところを言い切ったオレ。
えらいぞ、オレ!よくちゃんと言い切れた!
対するキュリエルは中断された理由を聞いて不機嫌そうに眉をひそめる。