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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 364

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三王の来訪。それは人造魔王であるオレが生まれてきたこと以上に住人たちを驚かせた。
確かにキュリエルをあっさり倒してしまうほどの実力は驚嘆に値するが、生まれたてのオレにはいまいちその凄さがわからない。
むしろ片腕もがれたルーやキュリエルにボコボコにされたウネリ、そしてヴァイアに灸をすえられたキュリエールのほうがよっぽどオレにとって重要なことだった。
とは言え、反対派やうさんくさい魔王代理(カグラ)のこともある。
一応情報仕入れておこうとルーたちをサルスベリのラボに搬送する傍ら、ミミあたりに聞いてみたところ。

「ら、ラグ様?それ、本気で言ってるんですか?
 いくらなんでもそのジョークは笑えませんよぉ・・・っ」

とがたがた震えながら、涙目でそう言われた。
ヘタしたらあの場にいた魔物全員がオレのせいで死んでいたかもしれないという状況だったことを知り、心底恐怖してしまったらしい。
失礼な。いくらオレでも初対面の相手にいきなりケンカなんてするわけないだろう。うん。
ミミの話によるとあのヴァイアとか言う老婆は、人間との大戦前に陸・海・空を治めていた最強の魔物『三王』のうちの1人であるらしい。
現在は大戦で負った傷を理由に三王を引退、その後独自に世界各地で生き残った魔物たちの保護や人間たちの動向を見ていたりしてたらしい。
それって全然引退してないじゃねーか。バリバリ現役じゃないっすか。
話を聞いて思わずオレがそうツッコむと。

「や、やややっ!だ・・・ダメです、ラグ様っ。
 引退したとは言え、あの方の実力はいまだに健在なんですっ。
 もしご本人の前でそんなこと言って怒らせたりしたら、ラグ様だけでなくここにいる魔物全員の命がなくなっちゃいますっ!
 お願いですから、そんな危ないこと言わないでくださいぃっ・・・!」

涙目の彼女から必死にそう懇願された。
すごく偉そうな立場なのに、どんだけ器小さいんだよ、三王。
まぁとにかく。そんなものすごいヤツが魔王代理のいるこの愚者の迷宮にやってきたということは。
魔物たちが心配だから様子を見に来た、なんて単純な話でないことはオレでもわかる。
それに先ほどのものすごい振動なども気になるところ。
いったいこの迷宮で何が起ころうとしているのだろうか?
それはもしかしてオレが作り出されたことと何か関係があるのか?
さまざまな疑問が渦巻く中、別室にてルーたちの手当てをしていたサルスベリがオレたちの前に姿を現した。
「サルスベリ!アイツらの容態はどうだった!?大丈夫なんだろーな!?」

コイツのマッドぶりには辟易しているが、それだけに腕は確かだとオレはひそかに思っている。
たぶんこの評価はこの迷宮に住む魔物たち全員の評価でもあるだろう。
だがやられた連中のケガがケガだけに、心配せずにはいられない。
何しろルンは片腕1本失った挙句、全身切り傷だらけ。
ウネリは全身大ヤケド。
キュリエルはおぼれて窒息死寸前。
しかも加害者が芋づる式に次々と被害者になっていくんだから笑えない。
自分の女に手を出す奴は許さないと決めているオレも、さすがにどーしていーのかわからないくらいだ。
まして三王来訪とかキュリエルを瞬殺するようなとんでもない連中が次々と集まっているとあってはなおさらだ。
正直連中が何の目的で集まったのかは知らないが、人造魔王であるオレが無関係とは考えにくい。
魔王代行カグラも何を考えているかわからないし、今は少しでも戦力がほしいところであった。
サルスベリは詰め寄るオレに対し、『そんなに顔を近づけるな、暑苦しい』とクールにオレを引き剥がすと、3人の容態を淡々と伝えた。

「3人ともひどい状態ではあったが、今は小康状態にまで回復している。
 あの生命力の強さは『異名持ち』だけのことはある、と言ったところか」
「そ、そうか・・・」

サルスベリの言葉にオレは思わず安堵のため息をついた。
ったく、どいつもこいつもめちゃくちゃばっかりやりやがって。
ちったあ、女らしいことの1つでもやっておとなしくなりやがれ。
暴走街道驀進中である自分のことを棚上げしてオレは心の中でそう毒づいた。
そんなオレの気持ちが表に出ていたのであろう、サルスベリがマッドな笑みを浮かべて冷かしてきた。

「よけいな心配をさせられてご立腹のようだな。
 見舞いついでに妊娠でもさせておとなしくさせてきたらどうだ?
 今なら病み上がりで満足な抵抗もできんだろうからな」
「・・・おいおい。それが医者の言うセリフかよ?」
「私は医者じゃなくて研究者だ。
 私が連中を助けたのを慈善活動の一環とでも思ったのか?
 くだらないこと言ってないで、さっさとアイツらをコマして何らかの成果を上げて来い。
 モルモットは多ければ多いほどいいデータが取れるからな。それに・・・」

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