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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 363

「って、ぅおおいッ!?何、オレ差し置いて勝手に話を進めてんだ!?
 こっちには片腕切り飛ばされたルンもいるんだぞっ!
 それといいかげんオレにもわかりやすく説明しやがれっ!!
 わけわからん単語や名前が多すぎて理解が追いつかんわっ!?」

オレをそっちのけで進む展開の数々に、とうとうオレはガマンできなくなって全力のツッコミを入れる。
しかしそれに返ってきたのはヴァイアと名乗る老婆の失望のまなざしと、あきれたような冷たい言葉だけだった。

「やれやれ・・・頭の悪い坊主だね。
 人造魔王って言うからちっとは期待してたのに、おつむのほうはサッパリかい。
 こりゃカグラのもくろみもうまく行くか、怪しいもんだ」

クソババアはそう言うとオレに背を向け、その場を後にする。
おいコラ、待てヴァヴァアッ!!
何いきなり派手な登場ブチかました挙句、勝手に退場しようとしとるんじゃい!?
あまりのやりきれなさにオリオールをぶっ放さなかったのは、オレの短い人生の中でほめたたえられるべき数少ないことだとマジで思う。

――――

同時刻。愚者の迷宮の謁見の間。
そこでは三王の帰還を知らない魔物娘たちが、謎の衝撃音と地震に驚かされていた。

「なっ・・・何事だ、これは!?」
「まさか人間どもがこの最深部までやってきたのか!?」
「そんなバカなことがあるはずがない!
 人間がここに来るなどあるはずが・・・!」
「くっ・・・!カグラ様!とにかくこちらへ!何があるかわかりません!」

衛兵の1人がカグラを安全なところまで連れて行こうとその手をつかむ。
しかし次の瞬間、衛兵の手は無情にも主自身によって打ち払われていた。

「騒ぐでない、兵士ども!これは人間どもの侵攻などではないッ!!
 わからぬか!?この謁見の間目指して近づいてくる途方もない魔力を!
 仮にも誇り高き魔物であるならば、この程度のことで騒ぐでないッ!」

カグラの一喝と同時に彼女から恐ろしいほどの魔力が解き放たれ、魔物たちはそれまでの騒ぎを忘れてその場で頭を床にこすり付けた。
まるで別人のような変貌を見せた魔王代理カグラ。
人造魔王の作成を強引に行った一方、反対派を放置するなど愚王と見られることもある未亡人。
だが今謁見の間にいる魔物たちはその見解が誤りであることを肌で理解した。
そんな愚かな女が先代魔王の妻になれるはずがない。
魔王代理になれるはずがない。
その魔王の玉座に腰掛けていられるのは決して肩書きだけのものではなかったのだ。
魔物娘たちはカグラの実力の片鱗に怯え、彼女に逆らってはならないことを改めて理解した。

「騒ぐガキども相手にマジギレしてんじゃないよ、大人げない。
 もうちょっと部下に優しくしてやれないのかね・・・?」

そこに老婆のものと思われる声が響き、謁見の間にその声の主と思われる謎の人物が姿を現す。
すると先ほどまでの肌に突き刺すような魔力とプレッシャーが幻のようにふっ・・・と消えた。
顔を上げてみれば、そこには恐ろしい魔王代理はおらず、魔物娘たちが普段世話をしていたあのカグラがいるだけだ。

「あら・・・?いらっしゃいませ、ボーデン様。
 地上の監視のほうは大丈夫なのですか?」

ボーデン。それはかつて魔物の世界に席巻していた魔物たちの中でも最強と呼ばれていた魔物の1つ。
大戦後は引退し、地上でいろいろやっていると言われていた超大物。
異名持ち以外に姿を見た者はほとんどいないことから、いろんな意味で伝説となっていた人物の登場に魔物たちは驚きを隠せない。
だが当の本人はカグラの言葉に嫌悪感をあらわにこう吐き捨てた。

「はっ・・・!全部わかってるくせに取って繕ったようなセリフを吐くんじゃないよ!
 気持ち悪いったらありゃしない。それより茶の1杯でも出したらどうなんだい!?」
「あら、これは気が付きませんで・・・。
 誰か。ボーデン様にお茶とお茶請けを持ってきなさい。
 まもなくヴァイア様やヴェーチェル様もいらっしゃいますから、急いで!」

ヴァイア。ヴェーチェル。どちらもボーデンと同じ元三王の超有名人。
ボーデン1人だけでも大事件だというのに、いったいこれは何事なのか!?
謁見の間の魔物たちは驚きのあまり、声も出ない。
彼女たちにできることはただ1つ。
2人の怪物の機嫌を損ねないよう、最上級のお菓子とおいしいお茶を言われた通りに用意することだけだった。

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