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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 360


「あはは、これくらいのことで驚いちゃダメだよ、ラグっち?
 こんなの、魔法の基本中の基本。初歩の初歩なんだから」
「・・・っ、」

存外に『私に勝った男がこれくらいもできないでどうするの』と言われているようで、オレは悔しさに耐えつつ唇を強く噛んだ。
事実、そう言っているのだろう。
キュリエルは自分を偽ることをしない。
常に自分が満足し、納得できる生き方を望み、我が道をどこまでも歩いていく女。
それがこのキュリエルという女だった。
反論もできずにいるオレを尻目に、右腕の放電が激しくなり、強く光を発し始める。

「モノにしたい女の前で恥をかきたくなかったら、もっとしゃんとしてよ?
 アタシ、自分より弱くて情けない男になんて興味ないんだから」

ぼそっと本音を口にした次の瞬間、練り上げられた魔力が一筋の閃光となって放たれた。
それは電撃なんて生易しいものではない。
光。海底深くに潜む敵を水ごと貫く1本の槍。
そうとしか形容できない雷の槍が、文字通り閃光となって海の中へと消えていく。
そしてそれは海底にいるウネリの身体に突き刺さると同時にその形をほどき、雷に戻って彼女の身体を包み込んだ!

「んぎッ・・・!?ぎぐッ、うあああぁぁぁッ!!」

思わぬ電撃攻撃に、ウネリはたまらず悲鳴を上げる。
光線系の威力が著しく下がる水の中で、まさかこれほどの手痛い攻撃を受けるとは予想すらできなかったのだろう。
一方、海底で激しく輝く光に驚くオレをよそに、キュリエル次の攻撃に向けての装填を開始していた。

「さあ〜、どんどんイクわよぉ〜?私の魅力に心行くまでしびれちゃってちょうだいっ♪」

それから2発、3発と海底の敵に向かって投げ込まれる雷の槍。
それが海底で強く光るたびに攻撃は弱まり、5発目くらいにはもう水の刃は完全に姿を消してしまっていた。
だがキュリエルは攻撃をやめない。
それどころか攻撃はどんどん激しさを増し、相手を殺さんばかりの勢いだ。

「お、おい!?やりすぎだ!そろそろやめねえと死んじまうぞ!?」
「なァに言ってんのよ!?せっかくノッてきたのよ!?確実に殺さないでどーすんのっ!」
「・・・っ!?このっ・・・何トチ狂ってんだこのバカっ!」
「あっ!?せっかく助けてやったのに何すんのさ、このスケベっ!?」

魔法を撃ってるうちに何かのスイッチが入ってしまったのか。
笑って殺害宣言をするキュリエルを止めようと、オレは両足を腰に回してその右手をつかむ。
しかしどうしても相手を殺したくて仕方のない彼女は止まらない。
右がダメならと今度は左手で魔法を撃とうとする。オレはそれをさせじと必死にあがく。

「・・・っ、このっ・・・邪魔、すんなあッ!?」
「ッ!?しまっ・・・!」

だが完全にスイッチの入ったキュリエルを止めることは結局できなかった。
オレの制止を振りほどいた彼女はとどめの一撃をウネリに向けて放っていた。
止めようにも、光の速さで動くエネルギーの塊を止めるすべはオレにはない。
終わった―――。
オレが思わずあきらめかけたその時。
この場にいた・・・いや世界中のだれもが予想できないような人物が、ウネリを殺す雷の魔法を防いだ。
それは誰もが自分以外の何者かの仕業であることを理解できた。
キュリエルの魔法を防いだものはそれほどまでに異常で、派手な現象だったから。

ゴゴゴゴ・・・!

最初に起こったのは地鳴りのような震え。
次の瞬間、真下の海から大量の水が爆発し、いくつもの奔流となってキュリエルの魔法の前に立ちふさがった。
そして・・・!

ザンッ!ザンッ!ザアァァァッ・・・!

「な・・・!?」
「げ・・・!こ、これってまさか・・・『理論純水』!?」

何と海底のウネリを何度も貫いていた閃光は奔流に1〜2本貫いたところでその力を失い、溶けるように消えてしまった。
キュリエルは理論純水などと言っていたが・・・あれは普通の海水と何か違うのか?
海の水を利用しているあたり、むしろ電気をよく通しそうな気がするんだが。
だがこの時彼女が驚いていたのは、自慢の魔法を水で防がれたことにではなかった。
その自慢の魔法を防いだ人物にこそ、驚いていたのだ。

「な・・・なんであのババアがここに来てんのよっ!?」
「『ババア』?キュリエル、おまえこれをやったヤツのこと知ってるのか?」
「そ・・・それどころじゃないわよ、ラグっち!
 わ、私急用を思い出したからっ。それじゃあね〜っ!?」
「うおッ!?お、おいこらキュリエル!?」

キュリエルはオレを空中に放り出すと、逃げるようにどこかへと飛び去っていく。
何だ?あの向かうところ敵なしの快楽主義者が、いったい何におびえているんだ?
オレは薄情にも投げ捨てられたことより、彼女のいつにないあわてように疑問を抱いた。
すると海底のどこからか、脳みそに直接響くような、重いしわがれた声が響いてきた。

『逃がしゃしないよ・・・!
 まったく海で雷撃系や猛毒系の魔法は使うなとあれほど教えてやったのに、まだわからないのかい・・・!!』

謎の声の直後、空中を流れる数本の奔流はまるで意思でもあるかのように動きだし、一斉にキュリエルに向かって飛んでいく。
それに気づいた彼女も必死で逃げようと試みるも、振り切れない・・・!

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