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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 359


戸惑うオリオールの返事を待たず、オレはありったけの魔力を銃に込める。
生半可な威力の弾丸じゃダメだ。
それこそ真下の水全部を吹っ飛ばすくらいのつもりで弾丸を作らねーと・・・!
オリオールの色っぽい悲鳴に感銘を受ける余裕もないくらい必死に魔力を練る。
その間もオレの身体は落下をし続け、水の刃が次々かすっていく。
あわてるな。落ち着け。焦って威力が足りなかったりでもしたら、それでアウト。
やり直しは利かない、1発勝負。
タイミングを見誤るな・・・!
オレは自分の考えうる、最高、ギリギリのタイミングを見計らって練り上げた弾丸を撃ち放つ。
狙いは下ではなく、横。弾丸撃った反動でここから自分自身を吹っ飛ばす!
「―――今ッ!」

ドンッ!

高出力の魔力の弾丸を放ち、死地からの脱出を試みる。
傷ついた身体で高出力の弾丸を撃ったもんだから、その負荷が全身にかかり傷口から一斉に血が噴き出る。
ちょっと痛かったが出力・タイミングともにバッチリ。これで助かった・・・と思いきや。

「うおおおぅッ!?」
(キャーッ!?)

真横に行くはずだったオレの身体はグルグルと変な回転をしつつ、放物線を描くように飛んでいく。
後でサルスベリに教えてもらったのだが、こんな変な移動になったのは重心のことを考えなかったかららしい。
たとえば飛んできたボールをそのまま弾き返そうとするとき、真上や横などあらぬ方向へ飛んでいくことがある。
これは飛んできたボールの真芯・・・重心に当たっていないからだ。
重心に当たっていなければボールには妙な回転がかかったり、はね返す力の方向が大きく変化する。
これを自分に置き換えれば、このようなことになることはむしろ当然というわけで。
脱出のタイミングとコースは大きく外れたオレの身体は鋭くきらめく水の刃に向けて吹っ飛んでいく。
しかしオレはものすごい回転に振り回されて、自分のピンチにも気づかない。
どこからかオレを案じる仲間たちの悲鳴が聞こえたその瞬間!

ガシィッ!

「おぶっ!?ちょ、ラグっち、重・・・!
 あなた、そんな見た目で体重何キロあるのよ〜?」
「はひ?ら、られら(だ、誰だ)・・・?」

水の刃に当たる直前でオレの身体を受け止めてくれたものがいた。
目を回していたオレにはわからなかったが・・・それはかつて反対派のトップの1人として君臨していたハイサキュバス、キュリエルだった。
蝙蝠の翼をもつ彼女には空中を移動することなど朝飯前だったのだ。
そもそも魔力もすごいかったしな。

「まあったく。ちょっと見学して間に何危ないことやってんの?
 あなたが死んだらまた女の子相手のHばかりしなきゃならないのよ?
 も〜ちょっとしっかりしてほしいとおねーさん思うな〜」

オレのあまりに情けない姿に嘆息するキュリエル。だがそんな悠長なことをしている場合ではない。
下からはいまだに水の刃が飛び続けているのだ。
いったいどれくらいの魔力があったらこんな芸当ができるのか、問いただしてみたいくらいだ。
しかし肝心のキュリエルは余裕の笑みをこぼさず、回避するどころか反撃に打って出た。
海に向かって右手を差し出し、ものすごいスピードで魔力を練り上げる。
まさか、オレみたいに魔力を打ち出すつもりか!?
そう思ったオレはあわててキュリエルを止める。

「お、おいっ!?水に魔力打ち込んだところでムダ・・・!」
「あははっ!確かに『ただの』魔力塊を撃ちこんだところでムダだよね〜?
 でもぉ〜。ちゃあんと属性や形とか考えて打ち込めばいろいろできるんだよ〜んっ♪」
「だから!それはオレもやった・・・って・・・?」

反論しようとしたオレはキュリエルの右手を見て言葉を失った。

バチッ・・・!バチッ、バリバリッ・・・!

急速に練られた魔力は放電という形で具現化する。
しかしオレが驚いたのはそれだけではない。
練られた魔力と比べ、圧倒的に放出される魔力の量が少ないのだ。
つまり、キュリエルはオレがオリオールを使ってやったことを自分の右腕1本で再現しているのだ。
しかも魔力を電気という形に変えて!
驚くオレにキュリエルは頼もしさすら感じる笑みを浮かべて語る。

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