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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 357


空を飛んでいた封身解放状態のルンの左の翼が上下にズレたのだ。
みなが・・・ルン本人さえもが驚愕する中、アイツの左手は本体からパックリと離れた。

『う・・・うあああぁぁぁッ!?』

切断面からわずかな出血をしたあたりで、ようやく左手を何者かに切り取られたことを理解したルンが悲鳴を上げる。
無理もないだろう。やられた本人でさえ斬られたことがわかってなかったんだ。
気が付いたら突然腕が切り落とされた、なんてことになったら誰だってパニクる。
混乱の極みに陥ったルンの身体は見る見るうちに縮んで元の人間形態に戻っていく。
斬られたことによる動揺で本性を維持できなくなったのか?
そこに再び水面から細い線のようなものが今度はいくつもルンの身体をかすめていく。
そのたびにルンの身体は切り裂かれ、思い出したかのように血液が吹き出していく。

「お・・・おいおい何だよ、あれは!?ルンのヤツ、いったい何に斬られたんだ!?」
「・・・おそらく水中にいるウネリの仕業だ。
 高水圧の水流を噴射してルンの身体を切っているんだ」

驚くオレにサークが親切にも教えてくれる。
しかし水?水で人体を切り刻んでいるだって?
確かアイツは水の中に潜っているはず。
いったいどれだけの圧力をかければあんなとんでもない威力になるって言うんだよ!?
オレが思わずそうツッコもうとしたその時だった。
水の刃にさんざん身体を切り裂かれたルンが落下を始めたのだ。
最初の一撃で左手を失っていたことだし、どうやら空中で体勢を維持できなくなったらしい。
最初はブッ殺してやろうかと思っていた憎い相手。
しかし人間(魔物だけど)不思議なもので、どんなに腹の立つ相手でもいきなりやられてピンチとなれば助けなければという思いにとらわれてしまう。
オレの身体は考えるより先にルンを助けに海へとひた走った。

ビシュッ!ビシュビシュッ!

次々放たれる水の斬撃があちらこちらに放たれる。
ヘタな鉄砲数撃ちゃ当たるでもなかろうが、弾数で命中率の悪さをごまかすような撃ち方だ。
・・・いや、そもそも当てる気がないのか?
最初の1発以外、全然見当違いのほうばっか撃ってるし。
とは言え、ルンはそのいいかげんな水の斬撃を食らって落下中だ。
早く助けんと今度は腕じゃなくて胴体を真っ二つにされるかもしれん。
あれはオレの獲物だ。勝手に横から入ってきて奪われてはたまったもんじゃない。
でもこのまま走ってたんじゃ間に合いそうもねーな・・・。
ここは1つ、ショートカットして行きましょーかっ!
オレは足首あたりまで海水につかったあたりで膝を曲げ、腰をぐっと下ろす。
前傾姿勢になって標準をルンに合わせ、一気に跳躍。
弾丸のようにすっ飛んで文字通り一直線でルンの救出に向かう。
デタラメに飛んでくるウォーターカッターが少々怖かったが、何とか無事に目標に到達。
すっかり縮んで人型になったルンを回収する。
ギガント・バードとか言う種族だからてっきり大柄なのかと思えばさにあらず。
逆に小柄で軽すぎるくらいだった。

「テ・・・メエっ、何、勝手に・・・オレ様の身体に触っていやがるっ・・・!
 この、スケベ野郎・・・がっ・・・!」
「腕1本取られといて何ほざいてやがる。
 お礼はあとで利子つけてたっぷりいただいてやるから、黙ってオレに助けられてろ、バーカ。
 ・・・あ」

無理やり恩を売りながら、オレはあることを思い出して下のほうに目を向ける。
するとそこには一足先に落ちたルンの腕がいい感じに『解体』されている光景が目に入った。
・・・やべ。本体を助けることに夢中で切られた腕のこと、すっかり忘れてた。
今から拾いになんて行けないし・・・あんないい感じにやられてちゃ、再利用もできないだろうなぁ。
ちと失敗しちゃったカモ(汗)
せっかくの救出劇についてしまった嫌なケチ。
それはこれから起きる本命の最悪の前兆だったのかもしれない。
そう海底から適当に放たれた水の刃の1本が、オレとルンめがけて襲いかかってきたのだ!
それも直撃すれば2人とも間違いなく即死するようなコースで!

「そら来たぁ!?」

オレはあわてて銃化したオリオールの銃口を水の刃に向けて撃ちまくる。
放たれた魔力の弾丸は水の刃に命中し、見事に相殺された・・・と思いきや。

ビシュンッ・・・!

「何・・・!?うおわッ!?」

相殺されたかに見えた水の刃は一瞬停止しただけで、すぐにオレたちのところに向かってきた。
このままではあれに斬られてルンと同じ・・・最悪全身バラバラに切断されてしまう。

(おいおい、いったい何が起こった!?弾は間違いなく命中してたはずだぞ!?)

オレはそう思いながら再度魔力の弾丸を迫りくる水の刃に放つ。
今度は何が起こったか見逃さないよう、目を皿のようにして観察してみる。
そして理解した。確かにオレの弾丸は水の刃に当たっているし、きちんと相殺してもいた。
だがこっちは点の攻撃であるのに対し、向こうは線の攻撃だ。
わかりやすく言えばオレは単発で攻撃しているのに対し、向こうは同じところに何発も連射して攻撃しているようなもの。
それでは最初こそ防げても、そのあとの攻撃を防げるわけがない。

「―――となれば話は簡単!」

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