モンスターハーレム 第2章 328
うっわ、ハズカシー。
しかしいつまでも恥ずかしがっている場合じゃない。
肝心のローはまだ健在で、しかもいつここにやってくるかわからないのだ。
オレは羞恥心を飲み込み、何とか思考を切り替えた。
自分が弓をいきなり達人級で使えるとも思えないから・・・。
「つーことは、オレは銃を使えばいいんだな」
「そうだ。あれは誰でも手軽に扱える上、威力も大きい。
対ロー戦においてはこれ以上ない、強力な武器と言えるだろう」
ロカがシリアスな顔で言う。
しかし子供をあやしながらなので、せっかくのシリアスさが見事なまでに台無しになっている。
ここで笑うのはいくらなんでも失礼なので、やめておこう。
そこにサルスベリが聞き捨てならない情報を公開した。
「幸い、おまえはすでに最強の銃を手に入れている。
ちょっと癖の強いヤツだが、おまえならすぐに使えるだろう」
「・・・は?オレが?もう武器を手に入れている?
待て待て。オレは数え切れないくらい女に手を出しちゃいるが、武器なんて手に入れた覚えはねーぞ?」
自分で言っといてなんだけど、ずいぶん最低だな、オレ。
ちょっと反省しながら疑問を口にすると、何人か豆鉄砲を食らったハトのような顔をした。
え?何?オレ、また何か変なこと、言いましたか?
「おまえ、気づいてなかったのか?」
「な、何のことだよ?」
「おまえが手に入れた銃のことだ。いいか?
おまえが手に入れた銃って言うのは・・・」
「・・・え?え?えーーーッ!?」
素手にて入れていたという銃の正体。
それを聞いた瞬間、オレは衝撃のあまり大声を張り上げ、2人の母の腕で眠る赤ん坊たちを盛大に泣かせたのだった。
その直後、ロカとサルスベリから花瓶と水差しによる強烈なピッチングを顔面で受け止めることになったのは言うまでもないと思う。
――――
その頃。サルスベリの部屋からさほど遠くない迷宮の一角では、ローたちがある人物との遭遇を果たそうとしていた。
「―――待て」
「え?」×3
無機質な石材が並ぶ殺風景な通路で、ローが突然ラーブラたちの歩みを止めた。
突然の制止命令に、3人は虚を突かれて軽い驚きの声を上げる。
それも無理もあるまい。
今の彼女らは逃亡者。人造魔王反対派の残党なのだ。
再び捕まらないよう、平常時でも彼女たちは周囲に気を配っている。
そんな彼女たちが何も感じないのに、突然止まれと命令されたのだ。