モンスターハーレム 第2章 316
ドカアアァァァンッ!!
「ぐぼッ!?」
弾き飛ばされたオレは、近くの壁に激突。
全力で走っていたことも手伝って、身体が軽く壁にめり込む。
いったい自分はナニとぶつかったのか。
激しい痛みに耐えつつぶつかったもののほうに目を移すと。
そこには防御の姿勢で立つ『竜人姫』ローの姿があった。
なるほど、と心のどこかで納得する反面、オレはこうも思った。
(いくら異名持ちだからって、そりゃいくらなんでもデタラメすぎやしねえ!?)
・・・と。彼女との遭遇は新たなるトラブルとの出会いであるとは思いもせずに。
「ってぇ〜・・・!誰だ、いきなり体当たりブチかましてきたバカは!?」
「いや、ダメージでかいのはむしろオレのほうだから!?」
ローのつぶやきに思わずツッコミを入れるオレ。
狭霧とソウルイーターも言葉こそ口にしないが、思いは一緒だったに違いない。
「・・・ああッ!?お、おまえはっ!?」
「ん・・・?オメエらは・・・」
そんなとき。ローの後ろにいた人影から、驚きの声が上がった。
その顔には見覚えがある。
確か名前はラープラ、ニオルド、トルナ・・・だったよな?
・・・あれ?コイツら確か反対派の連中で、あんまり反抗的だったから、牢屋に閉じ込められていたんじゃなかったっけ?
彼女らのことを思い出すにつれて、浮かび上がる疑問。
しかしそれを聞くより先に、ローが急に笑い出した。
「へっ、へへ。へへへ・・・。こいつぁ運がいい。
おまえを探しに来てみれば、おまえのほうから会いに来てくれるだなんてな。
手間が省けたぜ」
「・・・あ?オレを探してた?・・・まさかっ!
オレのいない間に、アイツら、ケンカをおっぱじめたのか!?」
「あぁ!?何言ってんだ、おまえ?」
最悪の想像が現実のものになったのかとあせるオレに、ローはこの上なく冷たい声を浴びせる。
・・・いや、確かに的はずれなことを言ったかもしれませんけどね?
そんな憐れみすら感じさせる冷たい視線を向けられると、さすがに心が痛いんですけど?
だがオレは勘違いしていた。
ローのまなざしは、的はずれな発言に対してではなく。
これからオレに起こることに対しての憐れみだったことに。
何も知らないオレは心の痛みに耐えつつ、会話を続けた。
「あ、ああ違うんならいいんだ。
それよりさっきオレを探していたって言ってたけど。
オレに何か用か?」
「ああ・・・。おまえには悪いんだけどよ。
今ここで死んでくれや」
「は?」