モンスターハーレム 第2章 313
「し、信じられません。
あのお方が、そんな恐ろしいことを考えていられるなんて」
「わ、私たちはずっとあの方の掌の上で踊っていたって言うの・・・?
禁忌の者を殺そうとしたことから、今日まで生きてきたことまで全部・・・?」
「アクシデントによる多少のアドリブはあったでしょうけどね。
それにしてもずいぶんとお粗末なことよね。
アレの本性にも気づかず、好き勝手やってると思ってたんだから・・・」
ルーティアのあざけりに誰一人反論しない。
それどころではなかったのだ。
早く何とかしなければ、とんでもないことが起きる。
そう考えたローの行動は早かった。
彼女は何かを決意すると、急いである人物の元へと急ぐ。
ニオルドたちは動揺しつつも、とりあえずローの後を追う。
「あらあら、もうお帰り?今度会えるのはいつになるのかしら?」
背後でルーティアの楽しそうな声が聞こえる。
実際楽しんでいるのだろう。ここに長らく封じられていた彼女にとって、身の破滅すら娯楽の1つに過ぎないのだから。
そんな彼女にローは振り返りもせずに答えた。
「すぐに会えるだろうさ。この世かあの世か、どっちかでな」
――――
「ふぅん・・・?
つまり戦巫女ってのは、神の名のもとにモンスターを虐殺しまくる、危険な連中ってわけだな?」
「ええ」
「んで、狭霧はその使命のために実験台となり、行方不明になった妹・・・だっけ?
そいつを探してここまできたってわけだ」
「・・・あぁ」
ソウルイーターと狭霧の言い分を聞き、オレは頬杖をついて『ふぅむ』とうなった。
ここはケンカをおっぱじめた狭霧たちをお仕置きするために連れ込んだ一室。
オレはここで狭霧とソウルイーターから事情聴取を行っていた。
いくら滅ぼされかけたとは言え、『人間』に過剰なまでの反応を見せたソウルイーター。
かたや追い詰められ、何をするかわからない魔物の巣窟に単身乗り込んできた狭霧。
生まれて間もなくトラブルに巻き込まれてばかりのオレだったが、さすがにここらで情報を整理したほうがよいと思ったのだ。
オレの要求に対し、ソウルイーターは素直に答えてくれた。
しかし狭霧はここに来た目的を、なかなか話そうとはしなかった。
人に聞かせたくなかったのかもしれない。