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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 31


「グオォォオオォォ・・・ッ!!」

それはテスの知る『凶将』サークとは似ても似つかぬ魔物であった。
外見そのものは大して変わっていない。
身体が妙に筋肉質になったな、と言うくらい。
だが・・・そのまとうオーラとでも言おうか、その様子は明らかに異状だった。
今の彼女をたとえるなら、それはまさに狂った獣。
理性のない野獣。
口からはダラダラと泡まみれの唾液を垂れ流し、その目は血走って真っ赤に染まっている。
たったそれだけの変化なのに、2人の魔物としての本能が最大の音量で警報を鳴らしている。
―――『逃げろ』、と。

「ウオォォオォオオォォッ!!!!」

獣が吠えた。それと同時に一斉に突っ込んでくる。
ものすごい速度だ。とても生き物に出せるスピードとは思えない!
テスは危険を察知して身構えるが、サークはそのまま素通りする。

「えっ!?」

彼女の狙いはその背後にいる、捕虜を背負った絶好の獲物(ナナリ)!
ナナリはとっさに防御を試みるが、間に合わない!

「くっ!」

テスは瞬時に自分が後手に回ったことを悟ると、両手を床にたたきつける!
次の瞬間、横の壁から10本の石の槍が一斉にナナリたちに向かって襲いかかる!

ドシュドシュドシュッ!!

「グオッ・・・!?」
「くあッ!?」

死角からの攻撃をモロに食らって、吹っ飛ぶナナリとサーク。
テスはすばやく石の槍を引っ込めると、ナナリたちを回収して狂えるサークと距離を取る。

「う・・・あ・・・?」
「すまない、無事か?オマエを助けるためにはアレしかなかった」

ナナリも背後の捕虜も息のあることを確認して、テスは心から謝罪する。
今の攻撃は、決してナナリごとサークを殺そうとしたものではなかった。
むしろ逆。ナナリを助けるためのものであった。
いかなる援護も間に合わないと判断したテスは、彼女を傷つけることを覚悟でサークを攻撃したのだ。
結果、彼女を傷つけはしたが、サークに殺されるという最悪のケースは回避できた。

「グルルルル・・・!」

だがサークもダメージを負いながら、すぐさま立ち上がる。
手負いの獣となったサークは威圧的なオーラに怒りと殺意を込めてテスをにらみつける。
その時だ。

「・・・う・・・あ・・・」
「!?」

突如サークの背後でうめき声が聞こえた。
おそらく生き埋めとなった兵士のものだろう。
刻一刻と悪化する状況に、テスは思わず心の中で舌打ちしたその時だった。

「グアアァァアアッ!!!!」

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