モンスターハーレム 第2章 296
「わ、わかったからやめ・・・ひぁンっ!?」
「だ、ダメッ!?力を入れたらダメェッ!!」
周囲に気づかれない程度に力を入れると、2人は色っぽい声を上げながらあわててオレの要請を受け入れた。
うむ、よきかなよきかな。魔物も人間も仲良くやるのが1番よ。
オレはちょっと名残惜しいものを感じつつ、ゆっくりと両手を離した。
その次の瞬間。
バキッ!×2
「ぐあおッ!?」
左右から渾身のパンチが放たれ、オレの顔とボディに突き刺さった。
当たったのではない。突き刺さると表現できるほどの威力で殴られたのだ。
倒れる瞬間、オレは確かに見た。
両目にうっすらと涙を浮かべ、『他人のいる前でなんてコトをする』と怒りと羞恥の視線を送る、ソウルイーターと狭霧の顔を。
さっきまで殺し合いしそうだったのに、何その息ピッタリのコンビネーションは・・・。
オレはせめてそれだけでも言ってやろうと、必死に意識をつなぎとめるが。
さすがに渾身の不意打ちを2発も食らったダメージは大きかった。
結局オレは文句の1つも言えず、その場に崩れ落ちたのだった。
――――
「―――で?私たちのところに来るのが遅れたのか」
「まったく・・・我が子が産まれたというのに、何をやっているんだ」
「め、面目次第もございません」
それから。意識を取り戻したオレは、仲間たちと共にサルスベリとロカの出産祝いに来ていた。
我が子を抱きつつ、呆れたようにため息をつく2人を前に、ものすごく居心地悪い。
それはソウルイーターと狭霧も同じようで、正座させられているオレの後ろで、バツが悪そうにそっぽを向いている。
「しばらく会えなかったから、どうしたものかと思っていたが・・・。
おまえはちっとも変わらんな?」
「まったくおまえも父親になったのだから、もう少し節度というものをだな・・・」
苦笑するサルスベリをよそに、ロカが説教の1つでもしてやろうとしたその時だ。
ロカの腕に抱えられた赤ん坊が大声で泣き出した。
「お、おおっ?よ、よーしよし、泣くんじゃない。
腹が減ったのか?ほら、飲ませてやるからそんなに泣くなっ」