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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 288

「…な、にを…」

卑怯だと思う。
アイツの僕となるトルナ。
サークに忠誠を誓ったニオルドとラープラ。
忠実なる手足を奪うことになる。…だが死ぬよりはマシなハズだ。
まずはトルナ。時間が無い。ローは色々と吹っ飛ばしてとにかく契約が完了するように、体内で魔力を練り上げる。
後はトルナの身体に『印』を与えて、魔力を分け与えるだけだ。

「…すまんな」

ぽつりとローは呟く。それはラグに対してなのか、トルナに対してなのか。それは己自身もわからなかった。
僅かに躊躇するロー。だが、手遅れになる前に、と手早く自身の魔力の証をトルナにぶちこむ。本来は契約の儀式が必要であり、魔力の塊だけ与えると単純に相手の力が上がるだけなのだが……

「我が名はロー。竜人姫の名の元に、トルナ・リーサスを僕として………えぇぃっ!!面倒だ!!!」

とにもかくにも、時間がない。魔力はゆっくりとトルナに吸い込まれ、僅かにトルナの額が光を放つ。そこには竜属の僕の証としての『印』が描かれていた。

これで力のみが『契約』された。僕としての繋がりはないが、仕方ない。


「さぁ起きろ、トルナ」

ローの呼び掛けにトルナは目をさました。

「ロー……様。はい、大丈夫です」

ゆっくりと起きると、トルナは瓦礫の中から鉄屑を掘り出してドッペルゲンガ-の方に歩み始めた。
慌てて呼び止めようとするローに、トルナは小さく微笑む。

「大丈夫、ですよ。ロー様。貴方様の魔力の中にロー様の『記憶』がありました。…私が何をすべきか心得ています」
あの瞬間、ローは慌てて魔力を分け与えただけだ。小細工は一切していない。偶然ではあるが、やらなければならない事を理解しているのは有り難かった。
「私が足止めします。その間にお二人の『契約』と逃げ道の確保を…」
ローがトルナを先に契約した理解は二つ。
一つは死にかけていた事。もう一つは、これから成すべき事を即座に理解し行動してくれると信じて。


結果、賭けは成功した。
魔力を与えた彼女なら、少しは足止めの役割を果たせるだろう。


ローは再び契約を行う為にラープラの元に駆け出し、トルナはドッペルゲンガ-の埋まる瓦礫に向かおうとした。……その瞬間。

声が、響いた。

――………――

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