モンスターハーレム 第2章 283
「エナジー・ドレインの対象をオレだけに絞ったのかよ・・・っ。
やるなら一言言ってくれよ、なっ?」
「あら、ちゃんと謝ったでしょ?
それとも私のつがいとなる男は、私を養う甲斐性もないの?」
「んなわけねーだろ・・・」
ちょいと気合と根性を入れ直し、四肢に力をこめる。
すると身体にかかった重さが幻のように消える。
ソウルイーターのエナジー・ドレインとオレの放出する生命力がつりあったのだ。
まったくいきなりやってくれるものだから、ちょっとあせってしまったではないか。
「エナジードレインは能力じゃなく生態だから、止めることはできない。
でも吸収する量や対象を指定することはできる。
これなら内区に行っても、無関係な魔物たちを傷つけることはないわ」
確かにそーだが・・・。オレだけ一方的に吸われ続けるって何か理不尽ではないか?
そう思ったが、口には出さないでおく。
彼女だって好きでこのエナジードレインしてるわけではないし、他の方法がない以上仕方がない。
「・・・くれぐれも我を忘れて他の連中に迷惑かけんなよ?」
せめてもの憎まれ口を残して、オレとソウルイーターは内区へ向かう。
狭霧がソウルイーターの思うような人間ではないことを証明するために。
――――
「・・・なぁ。1つ聞いていいか?」
「何かしら?」
移動を開始してどれくらい経過しただろうか。
今いるところは最下層の上層部。あと少しすれば内区に入るところだ。
そんな中、沈黙に耐えられなくなったオレは、いい機会だとばかりにソウルイーターに質問の答えを聞くことにした。
「いや、さっき聞きそこなった質問なんだけどよ・・・。
結局、ここに住んでたカラドリウスって魔物、どうなったんだ?」
「・・・言ったでしょ。私以外の魔物はここから出て行ったって」
「いや、それはわかってるんだけど。
そいつ、男みたいだったからさ。自分以外の男って会ったことねえから、どんなヤツだったのか気になってな」
「・・・その前に1つ教えてくれる?何であなたがその名前を知っているのかしら?」
「え!?い、いやおまえを探していたとき、妙に荒れた部屋を見つけてな。
ちょっと気になって調べたら、そんなヤツの名前が書いてあったんだ」
オレの言葉にソウルイーターはしばらく黙っていたが。
人物像を語るくらいならいいとでも思ったのだろう。
彼女はやっとその重い口を開いてくれた。