モンスターハーレム 第2章 267
拾った本を見てみる。
その本も乱暴に破かれ、ところどころ読めなくなっていたが、タイトルだけはかろうじて読めた。
こういうとき、あのナマモノ樹木(封育樹)のありがたさを実感するなぁ。
「D・I・A・R・・・。これ、もしかして日記か?」
ここの部屋の主はずいぶんとマメな性格だったらしい。
オレはさっそくここの主のプライベートを読んでみた。
『○月×日
今日も来客なし。彼女と甘いひと時を過ごす。
最初ここに来ようと決めたときは不安もあったが、や はり引っ越してきてよかった。
ここなら他の魔物たちがやってくることはないし、人間が来ることもない。
まったくソウルイーター様々である。
彼女にはお礼に自分たちの生命エネルギーをたっぷりと吸わせてやろう。
彼女の対極である自分たちにはエナジードレインなど意味はないのだから・・・』
「エナジードレインが効かない?
おいおい、コイツら、いったい何者なんだよ?」
いきなり衝撃の告白に、オレは自分の目を疑った。
生き物である以上、彼女のエナジードレインが効かないものなどいないはずだ。
事実、オレも身体に異常が起きない程度にエネルギーを吸われ続けていた。
しかもそれが複数いるとなると、よけいに信じられない。
しかもこれを書いたヤツは、同居人を恋人みたいに書いている。
レズでエナジードレインの効かない魔物っていったいどうなのよ?
オレは心の中でいろいろ突っ込みながら、次のページをめくった。
・・・が。そこには日記の主と同居人との甘い生活がダラダラと書かれているだけで、大したことは何も書いていない。
日記なんだから仕方ないのかもしれないが、こうも甘ったるいものをえんえんと見せられると、いいかげん腹がもたれてくる。
「う〜・・・何かイヤな気分になってきたな〜・・・」
うんざりした様子でオレが次のページをめくると。
今度は今までと違う内容が書かれていた。よかった〜。
『△月□日
最近身体の調子がおかしい。妙に熱っぽく、身体がだるい。
ボクたちカラドリウスは生の象徴と言われるモンスターのはず。
それが病気になってしまうほど弱ってしまうなんてありえない。
まさか、ボクはこのまま死んでしまうのだろうか?』