モンスターハーレム 第2章 256
それから1時間後。完全降伏として正座させられたオレとローは、冷めやらぬ怒りを立ち上らせた3人に囲まれた状態で裁判の続きを受けることとなった。
「・・・それで?被告に何か言いたいことはあるか?」
「い、生命だけは勘弁してください」
「み、右に同じく」
逃亡に失敗した以上、もう弁解の余地がないことを悟っていた。
被告というより死刑確定の囚人の気分だ。
Hでごまかそうにも、怒っているメンバーは素直じゃない連中だから、下手をすると逆に火に油を注ぐ結果になりかねない。
まさに八方ふさがり。詰みの状態、もしくはお手上げである。
一切の抵抗を見せなくなったオレたちの喉元に、それぞれ鞘のついた刀と剣が突きつけられ、無理やり顔を上げさせられる。
「・・・今回は初犯ということで特別に見逃してやる」
「だがまた同じことをしたらどうなるか・・・」
「言わなくてもわかるな?」
コクコクコクっ!
有無を言わせぬ迫力に、オレとローは残像が見えるほどの高速で首を縦に振る。
おお、人間との大戦で生き残った英雄であるローさえも怯えさせるとは。
実はコイツらが最強でしたとか、そんなオチか?
「・・・よし。それでは浮・・・いや、半死半生の身で大暴れした件は不問にしてやる」
うわ、今明らかに浮気って言いかけましたよね?
八つ当たりですか?もしかしてオレたち、八つ当たりで殺されかけました?
「・・・何か文句でも?」
「ありません」
即答。ありません。ええ、ありませんとも。少なくとも今は。
殺されたくはありませんから。
オレのそんな気持ちに気づいたのかそうでないのか。
目の前の夜叉3人は何か釈然としない様子だったが、すぐに話を再開した。
「入れ」
オルゾスの声に、ドアが開いてそこからミルフェとローブが恐る恐る部屋に入ってきた。
自分自身を抱きかかえるようにしているミルフェ&ローブの両手には何やら布でくるまれた『何か』を手にしている。
サークは2人からそれを手にすると、ひょいとオレの手前あたりに放り投げた。