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モンスターハーレム 第2章
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 第2章 253



―※―


実を言うならば。
今のラグは、『魔王としての意識』と『犠牲となった魔物の意識』が混ざりあった、いわゆる暴走状態であった。
アンジェラ達を含め続けてローとの性行為が魔物としての本能を起こしたが、直後のローの一撃が強烈すぎた。
魔物ではない、封育樹によって『造られた本能』、つまりは『魔王』として防衛本能が働き結果、二つの意志が今のラグを暴走へと導いた。


―小賢しいっ!!

だが今は生死を分ける一瞬。僅ながら『防衛本能』が強くなりつつあった。
ラグは大きく口を開けると、思いっきり『吼えた』

ラグの『声』は、空気を高速振動させる。セイレーン等が持つ能力の一つ、音撃である。
音の波状は今しがたローから吐き出された炎を欠き消した。
……だが。
欠き消された炎の中から、人の姿に変わったローが飛び込んできた。
ローの姿に気がついたラグはデビルズ・クローを構えて迎え撃つ。
ローはラグの目前まで迫ると右の拳を突き出す。対してラグは悪魔の爪。当然ながら、ローの拳にデビルズ・クローは深々と突き刺さる。
ニヤリ、と笑うラグ。だかそれはローにとっても同じだった。
ローは左手を掲げると、爪と拳の繋ぎ目に手刀を叩き込んだ。
バキン、という音と共にデビルズ・クローは砕け、ラグは僅かに前のめりに倒れる。その一瞬の隙に、ローはクルリと空中回転し、ラグの後頭部に踵落としを決めた。

「ぐ…がぁ……」

意識はある。魔王としての意識は。

しかし元々回復しきれていないその身体にはダメージは大きすぎた。

「お前がな、暴走状態つーのはわかった」

ローは少し距離を取る。

「魔王と魔物。たぶんこの二つが複雑に混ざったんだろうな」

ラグはふらつきながらもゆっくり立ち上がる。

「そりゃ、オレもお前と同じ存在。混ざったヤツの意識くらいはあるさ。けどなぁ…。」
ローは残っている左手に『力』を込める。色は紅。紅蓮の炎。

「ラグ、お前の目的はなんだ?
魔王として覚醒することか?
幾つもの雌とのセックス三昧か?
……違うだろ?」


紅蓮の炎に、さらに魔力を込めて。

「……お前の後ろにいる魔物を、薄汚い人間から護ることじゃねーのか?
肉欲に溺れるんじゃねぇよ救世主。
違う『存在』くらい抑え込め。
お前のそんな姿を見たら、お前の従者は何を思う?

……『快楽に支配されるな、支配しろ』。…先代の、お前の中にいる魔王の言葉だ」

立ち上がるも胸を押さえるラグ。


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