モンスターハーレム 第2章 226
何度もたたきつけられたせいで、半ば地面に埋まるように倒れる狭霧と、ローの手の中でぐったり動かなくなった血まみれのオルゾスとサーク。
それを見て、オレは激痛を訴える身体に鞭打ち、身体を動かそうとする。
自分を守ろうとした女たちを、あそこまでやられたことに我慢できなかったのだ。
「ろ、ロー・・・!てめえ・・・!」
「ラグ様っ!?ダメぇっ!!」
「・・・へえ?自分の女傷つけられた怒りで、身体が動くようになったか?
優しいところあるじゃないか。ますます気に入ったよ」
うるさい。こっちはおまえをブチのめしたくて、仕方がないんだよ・・・っ!
オレは激痛を無視して何とか立ち上がる。
しかし仲間のピンチに、立ち上がろうとしていたヤツはオレだけではなかった。
「ぐ・・・うぅっ!?」
「ナメ・・・るなっ・・・!」
「まだ・・・まだぁ・・・!」
オレの声に反応したのか、何とやられたはずの狭霧たちが息を吹き返し始めたのだ。
生きていたことにオレは安心するも、まだ危機は去っていない。
彼女らが戦闘できる状態でないのは明らかだからだ。
・・・くそっ!何でこういうときに限って意識がトンで無敵モードになったりしないんだよッ!?
オレが初めての無力感と敗北感に打ちのめされていたその時。
ローはつかんでいたオルゾスたちを解放し、ふっと微笑んだ。
「安心しな。コイツらを殺す気はないよ。
おい、そこのウサギども!
オレがラグの相手をしている間、コイツらを手当てしてやんな!!」
「ハ、ハイ!!」
魔兎族の連中が慌てて動き出す。
その瞬間、オレは動いた。
「てぇりゃ!!」
「何っ!!」
渾身の力を込めて、ローの首と右脚を掴んで持ち上げ、アルゼンチン・バックブリーカーの態勢で締め上げる。
「おおおああああ!!」
オレは渾身の気合いをこめてローの背骨をへし折りにかかる。
さらに・・・・
ババババババンンン!!!
両手の間に大電流を流して、ローを感電させる。
「がぎゃあああ!!」
流石のローもこれには悲鳴を上げた。
こんな女、生かしておけるか。
オレは怒りと憎悪だけでなけなしの力で攻撃する?
恩?仇(あだ)?そんなもん知ったことか。
体力的にかなりヤバいところだが、コイツだってボロボロのはずなんだ、今なら勝てる!
そしてオレは力を振り絞って電撃を放ち、背骨をぐいぐいと締め上げた。
・・・今にして思えば、オレは初めての敗北と自分の女を傷物にされた怒りで我を忘れていたんだと思う。
でなければあんな行動に出るはずがなかったのだ。
ローがボロボロで、自分に勝てないなんて根拠のない推測の元に。