モンスターハーレム 第2章 222
「はははッ!見つけたよ、ラグっ!こんなところにいたのかい!?」
全身包帯だらけのミイラ状態のくせに、快活そうに叫ぶロー。
こっちはまだろくに動けないってのに、何であっちはあんなに元気なんだ?
もはやドラゴンだからとか、そう言った種族的な理由などもう超越しているように思える。
しかし勝負はついたと言うのに、今度は何しにオレのところへ来たんだろう・・・?
そんなことを考えていると、まだ5体満足のオルゾスと狭霧が武器を構えてローの前に立ちはだかる。
「お待ちください、ロー様!
ラグはまだ勝負で受けたダメージから回復しきっていませんっ。
何をするつもりか知りませんが、ご自重ください!」
「これ以上我が夫となる男を傷つけるのであれば、我が剣が黙っていないぞ!?」
いつの間にオレは狭霧の未来の旦那様になってんだ。
オレは心の中でそう突っ込みながら事態の成り行きを見守る。
動けねえしゃべれねえってのは思ったよりキツいな。
「ははっ、おもしろいことを言う連中だねぇ?
片や異名もない、片や名前も知られていないコが、このローに勝てるとでも?」
魔物の常識に疎い狭霧はともかく、魔物であるオルゾスはその言葉に悔しそうに表情をゆがめた。
かつては魔王代行であるかグラの護衛を務めていたオルゾスだが、実力としては並以上異名持ち未満といったところである。
異名を持つ魔物は人間との交戦領域『外区』で毎日死ぬような思いで、この愚者の迷宮を守っている。
いずれオルゾスもそこでこの迷宮を守るために戦うことになっていたが、最前線で戦って生き抜いてきた経験の差はいかんともしがたかった。
しかしそれはお互い万全のときでの話。
いくら怪物じみた生命力があるとは言え、傷ついた今ならその差はないはず。
オルゾスは自分に言い聞かせるようにそう分析すると、覚悟を決めて前に出る。
「強がりはおやめください、ロー様。
いくら最前線の外区で生き抜いてきたあなたでも、あれだけのダメージを食らってすぐ戦えるわけもないでしょう?
それとも今ここで試してみますか?」
その言葉にローは一瞬虚を突かれたような顔をしたが。
すぐにたまらないとばかりに大爆笑した。
「あはっ!あはははは・・・!言ってくれるね、オルゾス!
じゃ、ここは1つ試してみようか?
もうすぐ外区行きだった、アンタの実力を見てみるのも悪くないしね!」
「「・・・!!」」
そう言って素手のまま戦闘態勢を取るミイラドラゴン、ロー。
包帯の下からのぞく火傷はとても痛々しい。