モンスターハーレム 第2章 193
「やですよ、ご主人様。私たち魔物を人間の基準で考えちゃ〜」
「そうそう。こんなご時勢ですもの、小さい魔兎族が大きくなったぐらいでそこまで驚いていられませんよ〜?」
・・・何だろう、この気持ち。
すごい正論言われているはずなのに、何かものすげえ納得いかねえんだけど。
「ま、それはとにかく。
そんなわけでソウルイーター様にお洋服を数着お願いできるかな?」
「・・・・・・(怒)」
「あだっ!?痛い痛い痛いっ!?」
納得いかないオレを放置して話を進めるミミ。
オレは無言でこめかみにこぶしをぐりぐりと押し付けることで、たまりにたまったストレスを発散させるのであった。
「・・・で?服のほうはすぐに作ってもらえるのか?」
「ん〜?それなんですけど・・・」
オレの質問に、ミルフェは困ったように眉をひそめた。
む。やはりそれなりの対価が必要だったか?
一応ここは魔物の居住区だし、オレは次期魔王って扱いになっているから何とかなるかと思ったんだが。
しかしそんなオレの考えはまったくの的外れだった。
彼女が困っているのは別の理由からだったのだ。
「いえ〜。そうではなく〜。
ソウルイーター様のような、エネルギー生命体さんのお洋服を作るには特殊な材料がいるんです〜。
申し訳ないんですけど、今、その材料の在庫がなくって〜」
「・・・材料?普通の糸か布じゃダメなのか?」
「はい〜。エネルギー生命体さんはその性質上、壁抜けしたり、炎の中を移動したりするんですけど〜。
普通の服じゃそんなのに耐えられないでしょう〜?
なので特殊な材料が必要となるんです〜」
「それっておまえの鱗粉じゃダメなのか?」
「私の鱗粉は対魔法効果くらいしかないんです〜」
「・・・一体何が必要なんだ?」
「フォリンちゃんって娘の繭の糸です〜。
あのコの糸は魔力の伝わりがよくて、エネルギー生命体さんでも作れるんですよぉ〜」
間延びした声でそう答えるミルフェ。
繭の糸ってことはその娘、昆虫系のモンスターか何かか?
「とにかく〜、これからそれを取りに行ってきますので〜、ここで待っててください〜。
材料さえあれば〜、すぐに作れますから〜」
「へ?ちょ、ちょっと待てっ!?」