モンスターハーレム 第2章 190
「ラグ〜ッ!どこだぁ〜ッ!?」
「どこにいる、ラ・・・グッ?」
オレを探し回っていたオルゾスと狭霧が、サークたちの姿を見つけたのである。
サークだけでなくローやシュアナの姿に、狭霧たちは警戒の色を強めた。
サークは元反対派のトップ、他の2人はオレの洗礼(要するにH)を受けていない相手だ。
オルゾスたちはゆっくりとサークたちの元にやってきた。
「サーク。いったい何しにここへ来た?シュアナとローまで連れて・・・」
「私はおまえらがずいぶん派手に暴れ回っているから、ちょっと様子を見に来ただけだ。
他の2人はラグに用事があるらしいがな」
さりげなく自分の答えをはぐらかしながら、後ろの2人の目的のみを伝えるサーク。
さすがに元反対派のトップが、オレをこの2人から守るためとか、オレの子供を孕むためとか言うわけにはいかなかったのだろう。
だがこの答えだけでも狭霧たちが警戒するには十分だった。
そこにすかさず闘争の種を撒き散らすのは『氷帝』シュアナ。
「ふん。カグラ様の側近だった女がずいぶんと堕ちたものだな。
私の知っているオルゾスは、あの方を守ろうとする強く気高い存在だったはずなんだがな」
「・・・何だと?」
シュアナの暴言に、オルゾスが眉を上げて反応する。
反応こそ小さいものだったが、かなり機嫌を損ねたらしく、身体から怒りと殺意のオーラが炎のように燃え上がっている。
(・・・貴様。死にたいのか?)
(はっ。堕ちた魔物に私を殺せると?おもしろい、やれるものならやってみたらどうだ?)
シュアナも負けじと殺気をみなぎらせながら、オルゾスと無言の応酬を始める。
サークと狭霧が止めなければ、本気で殺し合いに発展していたことだろう。
「・・・オルゾス」
「よせ。ここに暮らしている無関係な魔物たちを巻き込む気か?
もしやめないというなら、私も本気を出さざるを得んぞ?」
2人にたしなめられ、オルゾスはしぶしぶといった様子で殺意の矛を収める。
一方のシュアナも、そちらが矛を収めるならとあふれる殺気を弱めてくれた。
だが危険は去ったわけではない。
狭霧とオルゾスはシュアナとローがオレ(ラグ)を探す動機がわからないし、サークとしては何の害もないコミューンの連中への狼藉を見逃すつもりはなかった。
事態がどう変わるかわからない中、まず動いたのはサークであった。
「・・・で?おまえらはここでいったい何をやっていた?
非戦闘員の多いコミューンでのこの騒ぎ・・・。
事と次第によってはただでは済まさんぞ?」
『凶将』の異名を持つ女とは思えない人道的な言葉に、オルゾスたちは一瞬言葉に詰まる。