モンスターハーレム 第2章 182
リプトが驚愕の顔を浮かべた。
無理もない。魔力感知というならば、恐らくラグの魔力を探したのだろうが、魔力とは個体によって微妙に違う感覚を持つため、『魔力そのもの』を手掛かりに探すのは困難なはずだ。
「エリアの………ここは、妖林(ようりん)区か?」
「妖林区……?ミミ様の故郷…?」
シュアナがぽつり、とつぶやく。
「……何故お前がミミの故郷を知っている?」
「どうでも良いことだろう?私のとって、仕えるべき方ができた、それだけの話だ」
「何を言って……?」
サークが問い詰めようとしたが、それより早くローが魔力感知を終了させていた。
「ほれ、場所がわかったなら早めに行くぞ?サーク、お前も探していたんだろう?」
「え、ええまぁ…」
……恐れ多くも、サークの頭をぽんぽんと気軽に叩ける人物はそういないはず。
場違いながらもそんなことをリプトは考えていた。
「よし、なら早めに行こう。シュアナ、サーク。行くぞ」
まだ睨み合っている二人を小脇にかかえ、からからと笑うロー。
「そこの……魔法兵、お前さんはどうするんだい?」
「へ?えっと、私はまだやることが……」
口ごもるリプトを見て、にやりと笑うロー。
「ま、兆候者が多いと思うが、頑張ってくれ」
どきっ!!…と心臓が跳ねる。慌ててサークを見るがどうやら聞こえなかったらしい。
「あ、あのこの事は…」
「言わないさ。必要な時に必要なだけ。それが情報ってヤツだからね。」
とりあえずは安堵の息。
だがローは「それに」と続ける。
「あの堅物のサークが夢中になる『男』だ。もう少し遊びたいからね」
はっはっはっ、と笑いながら内区に向かうロー。サークとシュアナはしぶしぶ一緒に移動を始める。
三人の背中を見つめ、リプトはラグの無事を祈らずにはいられない。
サークとラグが再会した時。
ミミとシュアナが顔を会わせた時。
そしてローがラグを見た時。
一体どんな騒動が起きるのか。
リプトが知るのは、もう少し後である。
――――
サークたちがオレを探して移動を開始していたその頃、
オレたちはというと。
「キャー!!??みんな来て来てーーーッ!?魔王様が妖林区にお越しになられたわよ〜っ!!」
「わ〜っ、すごいすご〜いっ!カグラ様の側近、オルゾス様もいらっしゃってる〜っ!?」
「み、ミミ!?アンタ、何そんなに大きくなってるのよ!?」
「その身体、魔王様に大きくしてもらったのー?」
「あ〜ん、魔王様〜っ、私にあなたの子種をさずけてくださ〜いっ。
今、発情期なんですっ!今なら一発で孕みますよ〜っ!」