モンスターハーレム 第2章 18
(あーくそっ。これで満足できねえだったら、腹上死でも何でも好きにしやがれっ・・・!)
オレはもう半ばやけっぱちになってそうつぶやくと、意識を闇の中へと沈めていった。
このときオレには考える余裕なんて全くなかった。
キュリエルの魔法で眠りについた女たちのこと。
この場にいない女たちのこと。
そして残された反対派の将軍の動向も何もかも。
――――
「・・・時間だ」
その頃。魔王反対派の本拠地で、反対派最後の指導者『凶将』サークがポツリとつぶやいた。
鎧に身を包み、剣とも斧ともつかないバカでかい刃物を手にしたその姿は、まさに戦場に向かう戦士の風貌を思わせた。
サークが部屋の外に出ると、そこには彼女と同じように完全武装した反対派の兵士たちが整然と並んでいた。
「長らく待たせた、親愛なる我が兵士たちよ!
ついに我らの理を捻じ曲げて生まれた汚れた存在、禁忌の存在を抹消できるときが来た!
殺せ!あの汚らわしき存在、その魂までも!
消せ!ヤツに取り込まれ、同様の存在となったかつての同胞たちを!」
オオオォォォ・・・ッ!!
サークの演説に反対派の兵士たちが雄叫びを上げる。
「我らは魔物!弱肉強食の世界を生きる誇り高き存在!
我らは誰にも媚びぬ!屈さぬ!
たとえ最後の一兵だけになろうとも、我らの誇りを脅かすその全ての存在を魂の一片残らず抹消せしめろ!」
オオオォォォ・・・ッ!!
兵士たちの雄叫びを受け、サークが出撃の命令を下そうとしたその時だった。
「遊びに行ったキュリエルは切り捨てか。
相変わらず冷たいヤツだ」
「・・・テスか」
いつの間に来ていたのか、テスが大広間の壁に寄りかかって反対派の様子をうかがっていた。
「何しに来た。禁忌に負けた上、篭絡された裏切り者がここに来ればどうなるか、わからんわけでもあるまい」
サークの言葉に反対派の兵士たちの殺気が膨れ上がる。
テスの一言で簡単に殺し合いに変わる、そんな危うい状況が形成されていく。
「オマエのことだ、どの道私らを殺すつもりだろう。
そうなる前に話をするのも一興かと思ってな」