モンスターハーレム 第2章 152
中身を広げてみると、広げた部分から光が走り、中から愚者の迷宮の立体映像が現れた。
「行きたいところを指か声で指定すれば、そこまでの道のりと簡単な解説を見ることができます」
「ずいぶんと親切設計なんだな。前はこんな便利なものをくれなかったじゃないか?」
「あなたも反対派を倒せるくらいに強くなったようですから。
この迷宮が人間たちに支配されるにしろ、あなたが地上に出て行くにしろ、出口や安全地帯がわからなければ、困るでしょう?」
・・・まぁそのとおりなのだが。
反対派はオレが地上に出る実力をつけさせるための捨て駒だったってのかよ。
確かに大部分はオレの女となっているが、死人も少なからず出てたんだぜ?
この行動にもきっと何かある。そう思ったオレは、目の前の魔王代行を要注意人物として再認識した。
「ずいぶんとタイムリーな上に親切なんだな?
反対派とのケンカのときは指1本動かさなかったくせに」
オレは皮肉をこめて彼女の目的を探るべく挑発する。
もっともあの時援軍を派遣したらしたで、そのことを盾に恩を倍返しで返すことになったのかもしれないが。
「それは大変失礼しましたね。
でも私は信じていたのですよ?あなたの実力なら反対派と互角以上に渡り合えると」
「期待してくれるのはうれしいが、買いかぶりすぎじゃねえの?」
「あら、お忘れですか?私はあなたを作る計画の最高責任者。
言ってみればあなたの親とも言うべき存在なのです。
親が子供を信じずしてどうしますか」
その言葉にオレは寒気がした。
おいおい、仮にも親とか言うなら生まれてすぐ命のやり取りをさせるってのか?
いきなり殺し合いを放置するなんていったいどんな教育だよ。
冗談を言うにしてももっと言葉を選んでくれ。
「それにもっとも安全とされる『内区』で生き残れなければ、これからあなたが自由に生きることなど夢のまた夢ですから」
カグラはそう言うと、玉座についたままオレの持っている地図を指差す。
すると迷宮の地図の2ヵ所が色違いで淡く輝き始めた。
「あなたは反対派を倒したことで、この愚者の迷宮を自由に行き来する権利を得ました。
外区と内区の中間地点『最下層』。
地上への唯一の出口に通じるもっとも危険な交戦地域『外区』。
魔王代行の名前において、あなたがこの地域を出入りする権限を与えます」
「それはそれは。何ともありがたい話だね。
しかしオレがそこへ行くメリットがあるように思えないが?」