モンスターハーレム 第2章 137
先行するキノが出口を開け、先に出る。
できれば希望の世界へようこそって感じで大量の光で包まれたいものだが、元々地下の世界なので我慢することにする。
ああ、これでやっと自由の身だ。そう思って顔を出したその時。
オレは目の前の3人の魔物と目を合わせ、笑顔のまま硬直してしまった。
彼女らには見覚えがある。確かテト、リーリ、トルナ。
反対派との戦いで最初にオレの餌食となった、6人の捕虜たちのメンバーだった。
キノをはさんで何とも気まずい空気が数秒流れる。
それは永遠とも思える、短くも長い時間であった。
最初に動いたのは魔物娘3人だった。
「「「あ・・・。ぃ・・・いやあああぁぁぁッ!?」」」
「おぶろばッ!?」
彼女たちはいきなり叫んだかと思うと、どこから持ってきたのか本やらペンやら、その辺にあるものを片っ端からオレに向かって投げつけ始めた!
オレと3人組との間にいたキノはすばやくよけるも、まだ下半身を狭い通路に突っ込んだままのオレは、投げつけられた品々の直撃を食らった。
「「「いやあああぁぁぁッ!?来るなッ!?来るなぁぁあああッ!?」」」
「おぶげどらッ!?」
すさまじい攻撃の嵐。
そりゃ確かに恨まれるようなことをした記憶はあるが、それでも痛いものは痛い。
・・・つーか、コイツらまだオレのつがいになっていなかったのか?
そんな疑問が一瞬頭をよぎるも、それどころではない。
今、迷宮にはオレの子供を産みたい女たちがうじゃうじゃいる。
別に子作り自体は嫌いじゃないが、終わりの見えない無期限レースはやりたくない。
何より、テスたちが来たら死傷者が出かねない。
「パパ・・・!」
「く、来るなキノっ!」
あまりのやられっぷりに、助けに来ようとしたキノをオレは止める。
オレはパパじゃないが無駄な死傷者は出したくない。
それに生まれたばかりのキノにはまだ戦闘能力が備わっていないのだ。
オレはやむことのない投擲の嵐に耐えながら、必死に通路から下半身を取り出そうともがいた。
・・・何か攻撃がさらに激しさを増したような気がするが、気にしてもどうしようもないので気のせいと言うことにする。
もちろんやられたお返しは、きっちり倍返しで返すことは決定済みだが。
それでも攻撃がやむことはない。なんだかいろいろなものが飛んできて、中には炸裂しているものさえある。
思わずオレは顔と胸の前で両腕を縦に並べてガードの姿勢を取った。
すると・・・
さっきからの熾烈な攻撃が、うって変わって大したことのないものになった。そう、まるで鉄のカーテンで我が身を覆ったように。
投げつけられる物が、オレの両腕に当たってはカンカン弾かれてゆくのだ。
どうやらこれも高位魔族の誰かの力らしい。
オレが鉄のカーテンを張っているうちに、攻撃が次第に弱くなり、最終的に何も飛んでこなくなった。