モンスターハーレム 第2章 129
・・・なるほど。確かにミミとオレとのレベルの差は大きいだろうな。
ましてオレの体は死んだ魔物の英雄たちの骸で作られている。
その強い遺伝子をほしがるのは動物の本能というわけか。
「基本的にレベルの差が大きければ大きいほど、依存性や主従関係がハッキリと表れてきます。
しかし自我を保つほどの強い精神力を持つものは理性が本能に抵抗したり、レベルの差が小さい場合は主従関係が表れず、ある程度の自我を残していることがあるのです。
前者はオルゾス様、後者はロカ様ですね」
ふむふむ。オレはアスタナビュートのわかりやすい説明に思わず相槌を打った。
連中がそんなにあんな性格なのは、そんな理由があったのね。
そこでさらにアスタナビュートは補足説明を追加する。
「人間や一部の亜人種は理性が強いので、特にその傾向が強いとのことですが・・・。
サルスベリ様やサルモネラ様の場合、女としての本能が一気に目覚めてしまったため、あのようになられたものと推測します」
う〜ん、冷静にして何とも見事な観察眼。
ここまで来るともはや感心するしかない。
しかし時間・・・というか、女たちはいつまでもオレを待ってくれない。
突然背後のドアを乱暴にノックしながら、オレを求める声が聞こえてきたのだ。
「ラグ様っ!ロカ様ラグ様はどこだと探し回ってます!
早くお戻りに!」
「げッ!?ま、まずいな。すまん、アスタナビュート、オレはこれでっ!」
「はい、それではまたおいでください」
アスタナビュートとサルスベリと別れ、オレはあわてて女たちの元に戻る。
戻ってみると、そこではロカがそこら中をひっくり返してオレを探し回っていた。
そして戻ってくるなり、
「どこに行っておった、このたわけっ!」
と厳しいお言葉が飛んできた。
「な、何だよ!?せっかくおまえが探し回っているって言うから戻ってきたのに」
「バカモノ!仮にも父親になろうという男が、自分の子供を孕んだ女を放置するなど言語道断!
おまえもオスの端くれなら、孕ませた女の面倒を金と見んかっ!」
あーあー、また始まったよ。まわりでもオレを哀れむ同情の視線が投げかけられる。
このロカ、言葉遣いと同じく考え方も古風らしく、つがいとなった男は自分の女を守らねばならないと考えているらしい。
もちろんその逆もあるのだが、今の彼女は妊婦。