モンスターハーレム 第2章 105
くそうっ!せめてこいつらの治療を一瞬で終わらせることができればっ!
感涙転じて血涙を流しそうな勢いで、ロカを突き上げていたそのときだ。
何か手段はないかとフル回転させていた脳みそに変化が起きた。
それは難しい問題がいきなり解けてしまったような、射精やトイレを我慢し続け、ようやく出せたときのような、そんな開放感。
「お、お、おお・・・!?」
そしてその感覚は何かデジャヴを感じられた。
そう。それは以前オレが暴走したときと同じ感覚であった。
突然頭に浮かび上がる無数の文字や数字、幾何学模様。
同時に浮かび上がる無数の記号たちの意味。
それは魔物の生態や魔法技術、戦術などの記憶。
しかし生まれて間もないオレに、そんなことを覚えた記憶はない。
もしかしてこれ、オレの材料となった魔物たちの記憶か?
いきなり出てきた記号たちは、次々と浮かんではオレに知識を伝えてくる。
(う・・・く・・・!?)
最初は流されるままに、それらの知識を受け取っていたが・・・だんだんそれを受け止めきれなくなってきた。
浮かんでくる知識が多すぎて、オレの頭が処理できないようなのだ。
2〜3人と話をしていたのが10人、20人とどんどん増えていくような感覚だ。
不腰くらいならともかく、100人もの話を一度に聞き分け、理解するなんてできるわけがない。
(ま・・・待てっ!?いくらなんでもそんなに一気に覚えられるわけないだろうっ!?)
オレは浮かんでくる知識たちに向かって怒鳴る。
しかし意思も何もない、ただの情報であるそれらにオレの意思が通じるはずもなく。
ただひたすらオレに知識を伝えようと押し付けてくる。
その情報の奔流にオレの意識は徐々に押され、飲み込まれていく。
(ぬ・・・ぐ・・・ぐ・・・!!)
あらゆる知識がオレの頭の中で大合唱を始める。
歌の内容も種類もはみなバラバラ。みな好き勝手に歌っては消えていく。
最低最悪のオーケストラだ。
聞き手のことをこれっぽっちも考えないコーラスに、ついにオレの堪忍袋の緒が切れた。
(やかましいっ!聞いてほしけりゃちゃんと並んで順番に伝えやがれえッ!!)
限界まで押し込まれていたオレの意識は、知識の波を押し返し、はじき返す。
後に残ったのはオレの意識を漂う一部の知識たち。
それらはオレの怒りに怯えるかのように、弱々しく情報を伝えてくる。
それには今、置かれたこの状況を解決、楽しむための知識も残されていた――。
「――ハッ!?」