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デメリアの門
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デメリアの門 9






それから数日後。アクサリたちの参加する調査団が神殿跡へと出発した。
調査団は5〜6名からなるグループ4つの22名で構成されている。
その内容は戦士や魔法使い、盗賊や僧侶などの冒険者の定番の職業だけでなく学者や農民、商人といった非戦闘員もいる雑多な集団だ。
断っておくが、非戦闘員は使い捨ての肉の盾ではない。
あの光の噴水によって、付近の地域にどんな変化が起こっているかを調べるための調査員だ。
戦士や魔法使いたちの役目はその護衛というわけだ。
できるなら非戦闘員を危険な場所に送り込みたくないし、送るにしてももっとちゃんとした専門家を用意したい。
しかしこんな小さな村でそんな優秀な人員をすぐに準備できるわけもなし。
むしろ急造でこれだけの人数を用意できたことのほうがほめるべきだろう。
ちなみにアクサリとガルトは2人で1人前という計算で戦闘員として同じグループに割り振られている。
実力としては低レベルの狩人といったところだろうか。
他のメンバーは農民2人とシスター、ただし農民のうちの1人は元冒険者で戦士の経験がある。
パーティとしては比較的バランスの取れているほうだろうか。
他のグループも魔法使いがいる代わりに回復役がいなかったり、戦士系だけで構成されていたりとそれぞれ長所と短所を持っている。
できるなら完全に事態を解決にまで導くことが望ましいが、目的はあくまで調査。
調査団が危険と判断すれば即座に撤退し、領主や王に救援要請を出す。
急造のパーティで何でも解決できるほど、世の中そんなに甘くはないのだ。
自分の実力と相談しながら、どこまで進めるか。
それがこのクエストのキモであった。
まず最初にそれが試されることとなったのは神殿跡地の途中の古い街道。
おそらくあの光の噴水を浴びたと思われるエリアへの侵入であった。

「おいおい、いったいなんだぁ、こりゃあ・・・?」

その光景を見た調査員の1人が思わずそう口にした。
彼だけではない。それは調査員全員の感想だったろう。
それは何とも神秘的な光景だった。
地面や草木にはとろみのある白っぽい液体がかかっており、それが太陽の光を受けて七色に光り輝いている。
その液体には養分が豊富に含まれているのか、草木は青々と生い茂り。
旬でもないのに、花や果実を実らせているものまであった。
一見すると神秘的な光景。だが明らかに異常な光景でもある。
調査団はたっぷりその光景に見入った後、直ちに調査を開始した。
と言っても、することは誰でもできるような簡単なことばかり。
液体の採取から、時季外れの花や果実の収集。液体を吸収した土の簡単な調査などである。

「うーん、やっぱしおかしいだなぁ・・・。この時期にこの花が咲くなんてありえねえべよ」
「ではこの液体に特別な力があると?しかし私の見たところ、魔力なんて感じられませんが?」
「何でも魔力で考えるのは魔法使いの悪いクセだな。
 たぶんこれにはすごい栄養が含まれているんじゃないのか?」

護衛メンバーが守りを固める中、調査メンバーがあーだこーだと議論を始める。
だがアクサリとガルトにとって、液体の正体が何であるかなどどうでもいい。
さっさとブルックリンを見つけて引き上げたいのだ。
慎重になるのはわかるが、最初からこれでは少し困る。
2人は議論を続ける調査メンバーたちにそろそろ奥に行こうと提案する。

「あの、すみません。いろいろ考えたいのはわかりますが、とりあえず今は調査を優先しませんか?」
「その坊主の言うとおりだな。こんなところで時間を食ってたら、いつ魔物が姿を現すかわからんぞ?」

ガルトに同意した元戦士の農民の言葉に、非戦闘員の面々が震えあがった。
いくら護衛がいるとは言え、怖いものは怖いのである。
早く調査を終わらせたい護衛メンバーの意思を組み、調査団は警戒のレベルを上げてさらに奥へと進んでいく。
獣や魔物の生息域にも関わらず、道中は不気味なほど静かだった。
あの異常事態に驚いて、一時避難しているのかもしれない。
でもあれだけの規模の噴水で、ただの1匹も被害を受けなかったなんてことがあり得るのだろうか?
護衛メンバーがイヤな不安を感じ始めたその時。
突然、調査団の1人である狩人が手を横に伸ばし、調査団に待ったをかけた。
彼はこの森を狩場としており、また職業柄、生き物の気配に敏感だ。
調査団は彼の指示に従い、極力音をたてないようにしながら周囲を警戒した。
鋭い感覚を持つ狩人が見つけたもの。それは・・・。

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