PiPi's World 投稿小説

デメリアの門
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 5
 7
の最後へ

デメリアの門 7


「・・・ッ!?そこの子供ッ!貴様、そこで女どもに何をしているッ!!」
「ッ!?」

ブルックリンの存在に気づいた邪教徒の1人が、大声で叫んだ。
自分のことだと否応なしに理解した彼の注意が、生贄の女から声の発生源(邪教徒)へと向けられる。
それがいけなかった。
注意がそれた一瞬を狙って生贄の女が再度全身を試みた。
自らの失態を後悔する間もなく、反射的にそれを妨害しようとブルックリンは全身に力を込める。
だが一度崩れたバランスはそう簡単には戻らない。
女の踏み出したたった1歩。そのためにブルックリンは体勢を崩し、背後に倒れていく。止めようとした元凶と一緒に。
穴に落ちていく直前、ブルックリンの耳は何やらあわてたような邪教徒の声を聞いたような気がした。
こうして金策のために邪悪な儀式の現場に来てしまったエルフの子供は、己の正義感のために邪神のもとへ召されることとなった。
しかしそれは穴の底に全身をたたきつけられ、命を散らしたという意味ではない。
そもそも彼が落ちた穴は、穴ではなかったのだ。
穴の正体は、門。
人々に忘れ去られ、邪神にまで零落した存在のいる世界へと通じる扉。
成人として認められるべく始まったブルックリンの旅は、邪神の世界というとんでもない世界から始まったのである。
ブルックリンが居なくなった。
その大変な事件に2人のエルフはようやく気づいた。
「誘拐か事故か…」
と言うのはアクセリ。
村を出た形跡がないのはガルトの調べではっきりしている、そういう結論を出す以外無かったのだ。
「この村で事故に遭えばなにかしら騒ぎになるはずです。やはりなにか犯罪に…」
ガルトの言葉は爆発音によって遮られた。
地面をも揺るがす爆発音に、村人・旅人問わず何事かと外へ飛び出す。
アクセリとガルトも同様に外へ出ると。そこにはこの世のものとは思えない神秘的な光景が広がっていた。

「な・・・んなんだ、あれは?」
「光の・・・噴水?」

それは光の噴火、あるいは噴水とも言うべき光景だった。
村のはずれから、巨大な柱と見まがうばかりの光が天に向かって伸びていく。
だがよく見ればそれは光ではなく、違う物質であることに誰もが気づく。
その証拠に天に向かって伸びる光は途中で勢いをなくし、まるでシャワーのように地上に降り注いでいる。
虹色に輝いて見えるのは、おそらく夕日の光に反射でもしているからだろう。
これが村のド真ん中で起こったことなら、村中でパニックになっているところだが、幸い光の噴水は村のはずれで発生している。
直接行こうとでもしない限り、降り注ぐ虹色の液体を浴びることはないだろう。
しかしいったい何がどうなればこんなことが起こるのか?
事態を飲み込めない村の人間たちは、ただただ呆然とその光景を見ることしかできない。
やがて光の噴水は徐々に勢いが弱まり、小さくなって森の向こう側へ消えていく。
時間にしてわずか数分の、この謎の現象は唐突に発生し、誰にも事態を理解させぬまま消滅した。
だがいつまでも呆けているわけにはいかない。
村長たち村の重役たちは直ちに集まり、事態を把握するべく会議を始めた。
考えれば当たり前のことだ。
あんな得体のしれないもの、放置しておくのはあまりにも危険すぎる。
せめて村に害があるかどうかくらい調べておかなければ、おちおち眠ることさえできない。
会議の結果、村は調査隊を組織して現場を調査する旨が知らされることとなった。
場所は村はずれの神殿跡地。あのブルックリンが儀式に巻き込まれ、行方知れずとなった場所であった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す