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デメリアの門
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デメリアの門 6


悔しいのか、獣じみた唸り声を上げる女に対し、ベルトルトが忌々しそうに舌打ちする。
その間にも彼の仲間たちが、武器や魔法で襲い掛かる裸の女たちを攻撃するが、ケガこそしても死ぬものは1人もいない。
一糸まとわぬ美女だけに、そのタフネスは不気味を通り越して恐怖すら感じさせた。
こうしてベルトルトたちの不意打ちは失敗に終わり。
戦いは乱戦へと移行する。
てっきりこれであのおぞましい儀式が終わると思っていたブルックリンは、少しだけ肩を落としながらも心の中でベルトルトたちを応援する。
今、儀式を止められるのは彼らだけだ。
もし負けるようなことになれば、すぐさまあのおぞましい儀式が再開されるに違いない。
そう思い、ブルックリンが何気なく何人もの女たちが飛び込んだ穴に視線を向けると。
そこには信じられない光景が広がっていた。
生贄らしき女が、戦いのことなど気づきもしない様子であの穴の前に歩いているではないか!
なんと中断されたと思われていた儀式は、いまだ進行中であったのだ。
あわててブルックリンはベルトルトたちを見る。
彼らはみな邪教徒たちとの戦闘で手いっぱい。儀式がまだ続けられていることに気づいていない様子だ。
では誰があの恐ろしい儀式を止める?
考えるまでもない。今まで傍観に徹していたブルックリン。
彼だけが、今この場で唯一それを実行することができる人物だった。
幸い邪教徒たちもベルトルトたちの相手で忙しい。
今ならばブルックリン1人でも生贄たちの救出が可能だろう。
だが。たとえそれが可能であっても第三者であるブルックリンには、リスクを冒してまでやる必要はない。
彼はたまたま現場に居合わせただけの野次馬にすぎないのだから。
ブルックリンの心の中で、良心と生存本能が大きくせめぎ合う。
良心に従い、生贄たちを救うか。あるいは万が一を考えて逃げ去るか。
やけに長く感じられた数秒後、ブルックリンは動き出した。
勇敢なオスとして、哀れな生贄の女たちを助け出すために。
その移動はおよそ考えられないほど簡単だった。
何しろドーピング邪教徒集団とベルトルトたちは戦いの真っ最中。
まさか1人とは言え、第3勢力が入り込んでいるなど予想すらできなかっただろう。
ちなみにブルックリン本人は慎重に慎重を重ねて動いたつもりであったが、その動きはまだ素人同然の域であったのは言うまでもない。
そのせいで1〜2人ほど穴の中に消えることとなってしまったが、素人同然の彼が儀式の舞台である穴の前までやってこれたのだから、それだけでも称賛に値すると言える。
後は生贄にならんとする女たちを止め、ここから脱出するだけだ。
・・・と。口で言うのは簡単だが。それを実行するのはあまりにも難しい。
何しろ女たちはみなトランス状態。背後で繰り広げられている戦いなど気づきもしないで穴に飛び込む順番を待っていた。
おまけにその順番待ちの女たちは子供から大人まで、ありとあらゆるジャンルがそろっている。
ブルックリンと同じ子供ならともかく、大人はどうやって止めればいいのだろう?
その答えは不可である。
ブルックリンがここですべきなのは助ける女を子供だけ、それも少人数だけに絞ってここから立ち去ることだ。
薄情かもしれないが、彼ができることなんてせいぜいその程度である。
しかし成人の儀式として旅に出たばかりの彼に、そのような分別などできるはずもなく。
大人たちから教えられ、育んできた正義感の命ずるまますべてを助けようと考えた。考えてしまった。
具体的には、今まさに穴に飛び込もうとしている大人の女性の前に立ちふさがり、飛び込みの邪魔をしたのだ。
しかし相手には意識はない。
ただ儀式を完成させるために動く肉人形だ。
ブルックリンの制止を無視して穴に飛び込もうとひたすら前へ前へと進もうとする。

「ふぐっ・・・!?こ、このっ・・・!止ま、れぇ・・・っ!」

ぐいぐい。むにゅむにゅ。ぐぐぐっ。

穴のそばで展開される、2人の大人と子供のおしくらまんじゅう。
ブルックリンの顔や身体に、女性特有のやわらかい肉の感触がダイレクトに伝わってくる。
子供である彼でなければ、思わずにやけてしまいそうな、うらやまけしからん光景。
渾身の力を振り絞って、何とか生贄になるのを阻止しようとするも、相手をその場にとどめるのが精いっぱい。
このままではいずれ力尽き、彼女を、最悪ブルックリン自身も穴に落ちてしまうことになる。

(く、くそッ・・・!?まだまだ助けなきゃいけない人たちがいるってのに・・・!)

思わず心の中で悪態をつくブルックリン。
この時、彼の頭の中には周囲の状況のことなどきれいさっぱり抜け落ちていた。
そう。彼の周囲では邪教徒とベルトルトの戦いが続いていたのだ。
いくら戦闘中とは言え、長時間人目につく場所でもみ合っていれば、ブルックリンの存在に気づく者の1人や2人、出て来たっておかしくはない。
そしてそれは最悪の結果を招くこととなる。

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