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アカシックファミリア
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アカシックファミリア 5

貴族の青年の顔に怒気が浮かぶ。
裏切られたことに対する怒気か、馬鹿にされたことに対する怒りはわからないが青年は隠し持っていた魔導銃を引き抜き、フィアデルに狙いを定める。

帝都で開発された魔導銃は爆裂魔術を使って金属の玉を高速で飛ばす最新鋭の殺傷武器だ。
狙いを定めるのは熟練が必要だが、この距離ならば外さないし、高速の銃弾も防げない――筈だった。
しかし、銃弾は青年の予想を外れ、黄金剣の切っ先によって切り落とされる。
神業を見せたのに、ファイデルの顔には一片の安堵を見せず、冷徹に呟く。
「それが返答ですか」
「くっ!」
更に三度引き金を絞るが、全ての銃弾を黄金剣は切り払う。
フィアデルの瞳には既に冷たい殺意が宿っていた。黄金剣がすっと上段に構えられる。
「ま、待てッ。俺を殺したらオヤジが黙ってないぞ!」
「大丈夫ですよ。マスターの元には証拠隠滅を得意とするメイドも居ますから。それでは、さようなら」
黄金剣が振り下ろされ、その切っ先が貴族の青年の首を切り落とす。その寸前、黒い忍者刀が黄金の刃を受け止めた。
忍者刀を握ってるのはポニーテールの黒髪が流れる玲瓏な美貌のメイドだった。
黒髪のメイドが着ているのは普通の白のフリルがついたものではなく、出来るだけ装飾をなくし黒で染め上げたメイド服だ。
「待て、フィアデル!」
「あら、珍しい。萌黄じゃない。何故停めるの?」
「マスターからの命令だ。こいつは殺すな、と」
「・・・・・・・・ふーん。そう、わかったわ」
萌黄と言うメイドの言葉にフィアデルは素直に黄金剣を霧散させる。その視線は既に貴族の青年などに映ってなかった。
「た、助かったのか・・・」
「いや、悪いが、まだ助かってない」
虫けらのように殺される殺意というものを生まれて初めて味わって全身から冷汗を滝のように出す貴族の青年に萌黄は冷酷に呟く。
その指先が、ずぶりっと貴族の額に埋まる。
「とりあえず貴様には記憶の一部消去と、こういうことがないように性格を改竄させて貰う」

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