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此処はカシアス大陸の普通の都市ゲイル
この街のごく普通の両親から生まれた、ごくごく普通の青年の話です。
何時もの様に、彼は面倒くさそうに起きて、ダルそうに飯を食べて、飽々しながら親の店で店番をしていた時、突然辺りを明るすぎる光が包んだ!
ドゥッッ
その直後、一瞬の音と共に、全身のなにかが消える様な感覚が………
「なっっ?」
彼が気付くと世界が一変していた。
今は昼間のはずだが空が薄暗い、でも闇ではない。
山や森などの植物は枯れ、生命を止めている
水は濁り、大地からは生命力が消え果て、風は止まり、火も燃えていない。
ただ、時だけが今まで通り慢然と過ぎ去っていた。
何かが壊れているわけでは無い。
家も彼も両親も隣の人や、近所の犬達も怪我一つしていない……
ただ、誰も何も話さない。いや、話せないない。言葉に出来ないのだ。
普通の日常から大事な何かが消え、全てが空っぽになったような感覚だ。
不思議だ……全てが今まで通りなのに、全部失ってしまった、そう表現すれば当てはまるのだろうか?
「何が…どうなってるんだ?」
おかしい……何かがおかしい。
その時
キィィィィィン
妙に甲高い音がし始めたと思うと
パキィィィン
何かが壊れる音がした
そして、俺の意思は遠のいていった。