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妊腹の魔女
官能リレー小説 - ファンタジー系

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妊腹の魔女 9

添付された写真には、真っ白な少女が写っていた。長いホワイトブロンド、それよりさらに白い肌。私服らしい濃藍のワンピースを身につけているが、その上からでも痛々しいほどに痩せて、胸もほとんど膨らんでいないのがわかる。白い睫毛に縁取られた瞳は、ガラスのような灰色。色の濃い髪に茶や青の目がデフォルトのマルターナにあって、彼女の容姿はとても異質なものだった。
ざわざわする。
うまく言葉にできないが、何かとんでもないことになりそうな予感がするのだ。
イリアは唇をきつく噛み、何度も頭を振った。
そんな風に考えてはいけない。もう承けてしまった話だもの。
無理矢理に不安を追い払い、イリアは自分の魔娘達の様子でも見てこようと進路をかえた。
…フレジェと言う少女が入学したのは1年前…他の9人の少女と共にメルリルの魔娘になった。
しかし…才能は充分ある筈のフレジェは魔珠の定着が上手くいかず…他の少女が魔娘になり、フレジェは『補欠扱い』となった。
本来なら補欠生徒も学園長であるレーミアの預かりとなるのだが、メルリルの『何とかしたい』と言う熱意にレーミアも折れて補欠扱いのままメルリルが面倒を見る事になった。
フレジェの原因は解らなかったが…メルリルの熱意が勝ったのか、一年経ってようやく魔珠は定着しつつあった。

その魔珠定着を見る事無くメルリルは事故死…
メルリルの他の10人の魔娘は他の魔導師に引き継がれる事になったが、一年遅れた状態のフレジェの処遇は宙に浮いていた。
そんな時にこんな事…フレジェをイリアが預かる事にイリアだけでなくレーミアも何か運命的なものを感じてしまう。
そして、イリアの気持ちがフレジェに行った事で、再度行ったシズナの儀式は無事成功し、シズナはレーミアの魔娘に正式になった…



(一体、どういうことなの…)
深夜。灯りを落とした私室に、イリアは佇んでいた。
フレジェとの最初の対面を思い返す。
写真そのままに、尋常でなく痩せ細った少女。肌の白さは色白なだけではない、蒼白な顔をしていた。よく見れば綺麗な顔立ちだけれど、その前に誰でも目を反らしたくなってしまうような、虚ろな目。不思議な色合いの瞳。今にも折れそうな手足で、小さな体とは不釣り合いな、大きな車椅子に埋もれていた。

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