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妊腹の魔女
官能リレー小説 - ファンタジー系

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妊腹の魔女 8


シズナを送ってわずか4時間後、イリアはレーミアに呼び出された。
まさかシズナに何かあったのか。そう思い、そしてすぐに打ち消す。
もうシズナは魔娘ではないのだ。
部屋に入ってイリアが魔娘の礼を尽し、レーミアもそれに応える。
しかし、今日の彼女は心なしか緊張しているようだった。
「イリア、いいかしら」
躊躇いながら、レーミアが口を開く。
「あなたには酷なことだろうけれど…」
言い淀む。言ってはみたものの、レーミアはまだ何かを迷っているのだ。
「はい、お師母さま」
イリアは静かに先を促す。
それでも躊躇っていたレーミアは、二、三度視線を彷迷わせ、やっと決心したようだ。
しかし、続いた言葉はイリアをひどく驚愕させた。
「リプレイスメントを受け入れて欲しいの」
と、確かにレーミアは言ったのだ。

「貴方の魔娘は今九人でしょう。それでは慣例にも反するのだし、もう一人魔娘にして欲しい子がいるのよ。ほら…メイリルの魔娘」
メイリル、と聞いて、イリアがびくりと反応する。
「本当に残念だと思うわ、メイリルの事は……だから、あの子の意思を潰さないでやりたいの」
「……」
イリアは唇を噛んだ。
メイリル。レーミアの魔娘。イリアにとっても、メイリルは魔姉として慕う大切な相手だった。去年の研究施設爆発事故に巻き込まれなかったら、今でも笑顔でこの学園にいたはずだった…。
けれど。
「お師母さま、私は…シズナの代わりに魔娘を迎える気にはなれません」
魔女にとって、魔娘は10人。多くも少なくもなく。
だから、イリアは躊躇うのだった。
「シズナがお師母さまの魔娘になるのは分かっています。けれど、誓いを立ててしまったんですもの…新しい魔娘も等しく愛せるか、不安なんです」
だが、不安の原因はそれだけではなかった。
同じ師母のもと、現女王と並んでも何ら遜色ないイリアが引け目を感じる相手、それがメイリルだったのだ。
そのメイリルの元で修行した少女が、魔娘になる……
その時、私はその子を自分の魔娘として扱えるのか。
しかし、それは師母の言葉。逆らうことはできない。
つまり、イリアの返答は限定されていた。
数枚の書類を受けとり、イリアはレーミアの執務室を辞した。
ため息ひとつ、自室へと歩き出す。
書類は例の新しい魔娘についてだった。入学時に提出されたプロフィールと、メイリルの指導日誌だ。
氏名欄には、どうやら外国人らしい発音困難な名前。メイリルの日誌では愛称で、フレジェと記されている。
「フレジェ……フレジェ・アイヒ…かしら」

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