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妊腹の魔女
官能リレー小説 - ファンタジー系

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妊腹の魔女 12

このことは一切申し送りになかった。つまり非合法の措置なのだ。
フレジェはメイリルに迎えられ、レーミアの看視を経て、イリアの元へ来た。
イリアではない。レーミアには理由がない。
「メイリル…」
ひょっとしたら、魔珠の棒はとっくに外れていたのではないだろうか。彼女はそれを報告せず、魔力を封じる貞操帯を与え、事実を隠蔽した…。
メイリルが自分の死を予期していたはずはない。恐らく彼女は、フレジェを手元で育てようと思っていた。レーミアを説得し、10人の魔娘の枠の外にフレジェを置いた…。
登録上魔娘でないのだから、それは私学。学園の方針には従う義務はなく、育成報告も厳しくは求められない。女同士とはいえ人格を尊重するこの学園、車椅子と何重ものレースに隠されたスカート下を、誰が暴くだろう。
…メイリル、あなた何がしたかったの。
フレジェと話そう。イリアはそう心に決めた。

フレジェに事情を聞こうというイリアの決意は、しかしなかなか実行できなかった。
驚くべきかな、彼女がイリアの魔娘たちにあっさり受け入れられ、足の不自由な彼女のためにいつも誰かが側にいて、車椅子を押してやったり手を貸してやったりと、一人になる時がなかったためだ。
一体自分の警戒は何だったのだと、イリアは独りごちる。
それでも魔娘たちの棒が抜け揃い、本格的な修行が始まる前にとイリアがあれこれ奮闘した結果、朝食の席でフレジェを捕まえるのに成功した。
「おはよう、シンシア、フレジェ」
明るく声をかけると、一緒にいたシンシアがぱっと金茶のお下げを翻して立ち上がり、こちらに深く頭を下げてから、フレジェの車椅子を押してやってきた。
「おはようございます、お師母さま」
はきはきと喋るシンシアはくりっとした緑の目で、うさぎのように愛らしい。そういえば、仕草も何となくそんな感じだ。
フレジェは相変わらず無表情だったが、いつもは虚ろな目が、今朝は妙に底光りしているように見えた。底無しの瞳孔の周りに赤いフレア、それが何だか濃く見える…。
何で私が呼んだのか、分かっているのかも知れない…
ぞわりとイリアの背に冷たいものが走った。
「ごきげんよう」
淡々とした声。おっとりした発音がフレジェのものだと気づいて、イリアは思考の淵から引き戻される。

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