比翼の鳥は運命の空へ 11
「気持ち良くしてあげるね」
「は?」
その言葉の意味を考える暇は無かった。気が付いた時には、アレスのモノは外気に曝されていた。
「これが男の子の……、すごい、初めて見た……」
リタは恐る恐る手を伸ばし、隆々と勃起した肉棒を掴む。
「熱い、それにビクビクしてる……」
掴んだ右手で竿を擦る。自分でするのとはまた違う快感が竿から伝わって来た。
初めての感覚に射精感が急激に高まり、アレスは身動きが取れなくなる。
「わぁ……まだおっきくなってる」
リタの手付きはどんどん大胆になっていく。
竿を擦る右手の親指で裏筋をなぞり、空いた左手で鈴口とカリを刺激していく。
「さきっぽから滲んで来たよ」
我慢しきれず出て来た先走りがリタの指に絡み付く。
「口でするのも気持ちいいのかな?」
「な……!?」
それを止める余裕などアレスにはは無かった。
足下にひざま付いたリタは両手でモノを固定し、大きく口を開けて咥えた。
「……っ! ぅ、あ……ぁ」
暖かい感触に包まれるとともに、手でされた時以上の快感が脊髄を駆け抜けた。
「ん……んっ……ふぅ」
舌先が裏筋を刺激し、歯の先でカリを引っ掻かれる。
アレスのモノははち切れんばかりに怒張し、今にも射精してしまいそうだ。
それを咥え、舐めるにつれてリタは行為に没頭して行く。
だが逆にアレスは冷静になっていった。射精感が高まれば高まるほど、リタの行為を拒絶したがる自分に気付く。
こうなる事を望まなかった訳じゃない。けれどアレスが本当に望んだ形という訳でもない。それに、突然行為に及んだリタの様子は明らかにおかしかった。
「く、ぁっ……!」
一度口を離したリタは、とどめとばかりに亀頭の先を全力で吸い上げた。
限界が一気に近付く。
その時、アレスの脳裏を銀髪の少女の姿がよぎった。
「きゃ!」
気付けばリタを突き飛ばしていた。
「はぁ……はぁ」
荒い呼吸を整える。
その様を、地面に尻餅を付いたリタは呆然と見上げていた。
「……」
呼吸が整ってもアレスはなにも言えなかった。
強引にこのような行為に及んだ事を責めることもできたし、優しく諭す事もできた。
けれど拒絶の理由はリタの強引さではない。それを思うと、声を掛けるのは卑怯な気がした。
やがてリタはスカートの埃を払いながら立ち上がった。
「リタ……」
「ごめんね。私、焦り過ぎちゃったみたい」
そう言って一瞬悲しそうな顔をして、リタはクルリと背を向けた。
「おやすみなさい」
アレスは家に戻るリタの背中を黙って見送った。
「はぁ……」
深い溜め息を吐く。
リタの涎にまみれたモノは既に落ち着いていた。
「これからどうなるんだろうな」
その問いに答える者はない。
ただ、モニカという存在がアレスとリタの関係に大きな波紋を生んでいるのは確実だった。
そうして、身体のほてりは漸く収まった。
「ぁ、ん……」