大陸魔戦記 100
彼女は、虜になったのだ。
口にする度に異なる味わいをもたらす、極上の蜜そのものに。
――悟ったならば、為すべきは一つ。
「…なら、満たされすぎて飽きてしまうぐらいにしようじゃないか…」
――今自分が用意できる、最上級の性のフルコースを振る舞い、彼女をもてなす事。
そうと決まれば、余計な思案は不要。
ジルドは再び唇を重ね、紺碧の瞳を潤ませた女剣士をしっかりと抱きしめる。そのまま体を後ろに傾け、背中から布団に飛び込んだ。
「…男が女に組敷かれているように見えるぞ、これでは」
艶の含んだ声で、アグネスは揶揄する。対するジルドは、何て事もない様子だ。
「最初から女性を組敷くのは嫌いだ。それに、」
言いながら、いつの間にか前に回していた手で、彼女の胸を軽く揺さぶる。
「ひゃ…っ」
「最初のうちはこの体勢の方が、やりやすい」
「い、いきなりはずるいぞ…あっ」
腰に回していた手を下へと這わせ、肉感のある尻肉を撫でさする。
「お、おいっ、まだ服もまともに脱いでな、ぁあんっ」
早くも快感に翻弄されながら、アグネスは必死に抗議するが。
「服なら、している最中にも脱げるだろう?」
尻肉を鷲掴みにし、乳房をふるふると揺らすジルドは、聞く耳を持たない。むしろ、悶えながら文句を吐くアグネスの反応を、楽しんでいる。
しかしアグネスは、それが少しだけ面白くない。
――故に。
「はぅっ…か、勝手にぃ……いじくりまわす、なっ」
久しく味わう快感の中、なんとか片手で上半身を支え、空いた手をジルドの下半身に置いた。
すると、ジルドの体が軽く跳ね上がる。
手を置かれたのは、肉欲の象徴であり、男である事の証。
布を二枚程被せられたそれを、アグネスは軽く握る。ジルドは思わず息を漏らし、乳房と尻の感触を確かめる手の動きを止めてしまった。
「ふふ…やはりここは弱いな」
一転して優位に立った彼女は、ズボンの上からジルドの興奮を揉み続け、同時にズボンをゆっくりと下ろす。
「たった数度、セリーヌの相手をしたからって…私よりも優位に立てると、思わない事だ」
言い切るとともに、ズボンの下からジルドの男根が露わにされた。
窮屈な部屋から解放され、男根は自らの存在を示すかのごとくそそり立つ。
「…大きい…それに、すごく熱い…」
ぽつりと呟き、それを凝視する。興奮しているのか、軽く握られたものの先端に、いやに生暖かい息が吹きかけられる。
「う…ア、アグネス、見ているだけでは、満たされないぞ…」
吐息によるなぶるような責めに軽く悶えながら、ジルドはアグネスを促す。
「…おいしそうだな…」
しかし、アグネスは熱に浮かされたような態度をとるばかりで、ジルドの言葉など耳に入っていないようである。