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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 156

「ライフォンがどう出るかはわからない。場合によっては今日ここを出発する必要もある。だから、この先どこへ行くのかを決めたい……まず、ここが現在地。ここから行ける道は、二つ程しかない」
その指がつつと動き、トルピアの南東を指差す。
「一つ目は、南東にあるオーエンの村を通り、霧の森へ向かう道」
「霧の森……迷いの森に身を隠す、というわけか」
問いかけるアグネス。対するジルドは、その通りだとばかりに頷いた。
「ああ。だが、自分達がそのまま出られなくなるリスクもある」
その言葉に、セリーヌは息を呑む。そこから彼女の不安を読み取ったらしく、ジルドが視線を移した。申し訳なさそうに口を開く。
「もう一つは、トルピアから海を渡り、城塞都市アルラネイドへ向かう道」
指がトルピアに引き返し、今度は海を跨いで南へ向かった。別の大陸にたどり着くと、海辺にある地名を指す。すると、次はアグネスが表情を曇らせた。
「アルラネイドか……かつては我が国と交流のあった国だが……」
その呟きを聞いたセリーヌが、怪訝な顔をした。
「交流があった?そのような話、我は知らぬぞ?」
「知らないのも無理はない。何せ、セリーヌがまだ幼い頃の話だ」
「そうなのか?」
視線がジルドへ向かう。子細を求める雰囲気を漂わせている事に気付いた彼は、地図から手を離した。そして言葉を続ける。
「アルラネイドと交流があったのは、第二王子が皇位継承第一位で政治に手を出した時だけ。その時はかなりの友好関係が築かれていたようだが、王子の失踪で一気に疎遠になり、やがて国交は自然消滅。今に至る」
その答えに対し、セリーヌは怪訝な顔を見せた。少し信じがたいのだろう。ジルドは地図に目を戻す。
「疑わしいならアグネスに確認するべきだな」
ついでに、ぼそりと呟いてみた。
「そ、そうか」
たじろぐセリーヌ。どうやら図星だったらしい。慌ててアグネスに顔を向けると、「それで、本当なのか?」と問いかけた。するとアグネスはこくりと頷く。
「ええ、確かにジルドの言う通りです。第二王子アレン殿は外交に長けていたようですので」
「むぅ……」
どうやらジルドは、自分が思っているよりもずっと博識のようだ。セリーヌは急に恥ずかしく思い、申し訳なさそうに視線を向けた。それに気付いたジルドは、「いや、気にすることはない」と肩をすくめる。
「それより今はこれからの進路だ」
急に険しくなる目つき。セリーヌもアグネスも居住まいを正す。
「海路を使えばかなり遠くへ行けるが、もし魔物に見つかっても、船が港に着くまでは逃げ場がない。その分、陸路ならかなり自由がきく。遠くへはなかなか行けないがな」


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