PiPi's World 投稿小説

大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 8
 10
の最後へ

大陸魔戦記 10

「とりあえずは、様子見じゃ」
「はっ? しかし…」
 ポツリと漏らされたその素っ気無いとも言える口調に、言い募ろうとして顔を上げた従者はとっさに押し黙る。また、主の上でわずかに漏れ出る嬌声に心悩ませていた奴隷も、ひっ、と細く声を漏らした後、息を止めた。
「仕方あるまいて。正面きって”滅びの巨剣”に手をかけるは愚かというもの」
 穏やかに声を紡ぐ主君の瞳に、身の凍る程の覇気がありありと映っていたために。
「それよりも、彼奴の目的が知りたい」
 巨大な陰茎の律動をそのままに、雄大な体躯にはいささかの変化もなく。
 男はその身に烈気を躍らせながら、静かに、だが厳命する。
「物見らに伝えよ。”滅びの巨剣”の一挙手一投足に至るまで観察し、その全てを報告せよとな」
「はっ。しかと心得ました。では」
 そう一礼をすると、主の命令を伝えるべく、従者は踵を返して去る。

部屋を、静寂が支配する。
「どうしたのだ? もう声を上げても良いのだぞ。そなたの美しき声を、我に聞かせてくれ」
「あ…」
喘ぎたかった。否、喘がなければならなかった。
しかし先程、殿下の目に宿る覇気を見てしまったがために、恐怖で身がすくんでしまう。
「…なんだ、怖いのか……仕方あるまい」
なじるように呟いた後、一度だけ深々と突き入れてみる。
「んっ、あぁぁあぁっ!」
そのあまりの衝撃に、少女の口から高らかな嬌声が引き出される。それを聞いて、彼はようやく満足の笑みを浮かべた。

「……さて、これからどう動くであろうか…」





交わる刃の軌跡。それがぶつかり合う度に澄んだ音が響きわたる。
「俺は、姫君に用があるだけだ!道を開けろ!」
「ならぬ!得体の知れぬ輩如きが、姫にお目通りできると思うてか!」
剣を交わしながら言葉をも交わす二人だが技量の差があるのか、男の声には余裕がある。一方のアグネスはゆとりこそあれど、その目は明らかに力がこもっている。
(この男…慣れている!)
己の観察眼の浅さに、アグネスは内心舌打ちする。

男の太刀筋は、オーク達との戦いで見せたそれとは、全く異なった。相手の剣を受け流し、同時に態勢を崩す。腕ではなく全身で、身の丈を上回る巨剣を見事に御する。かと思うと急に大きく踏み込み、思わず受けに回ってしまう。
変幻自在。まさにその言葉が当てはまるような、熟練の動きだった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す