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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 11

「くっ…このっ!」
男の剣先をなぎ、アグネスが撃ってでようとした瞬間…
ドカッ
「!?…くぅ」
アグネスの死角から低めの回し蹴りが放たれた。
「ふん…貴様、多少剣の腕がたつ様だが…戦はお遊技とは違うんだよ!」
男は一転、猛攻を仕掛けてきた。
ヒュッ
ギンッ!
アグネスの手から剣が弾かれた。
男の剣先が喉元に突き付けられる。
だが男の顔には、勝利による愉悦はない。あるのはただ、微かにして静かな焦り。アグネスの観察眼は、偶然にもそれを捉えた。
(この男……何を焦っている?)
不審に思うアグネス。そこへ、男が口を開いた。
「…殺すつもりは毛頭ない。俺は、ここの姫君に用があるだけだ」
「痴れ言を!大方、この混乱に乗じて姫を亡き者にしようとする魂胆なのだろう!」
アグネスはせめて、強気に出る。
そうする事によって自分が殺されてしまう危険もあったが、もとよりセリーヌ姫の御為に捧げた命。セリーヌ姫を犠牲にしてまで生き残りたいとは思ってなどいない。
闘志を目に宿し、ただ審判を待つアグネス。だが男は、意外な行動に出た。
「…なかなか見事な太刀筋だった」
あろうことか男はそれだけ言って、突きつけた巨剣を下ろしてしまったのだ。
「貴様、あれだけの殺意を込めた言葉を発しながら、殺すつもりはないだと!?ふざけるのも大概にしろ!」
生き残った、という事実を脇に置いて、アグネスはいきり立つ。確かに殺意を向けられ剣まで突きつけておきながら、殺すつもりはない、と言われては、誰しも疑問に思うだろう。
男はあくまで冷静に、それに答える。
「…少し、焦っていた」
「焦っていた?」
直接的には理由に結びつかない言葉に、アグネスは戸惑ってしまう。
しかし男はそれには答えず、静かに巨剣を収める。
「…質問を変える。避難路は安全か?」
「…そんな事を聞いてどうする」
とっさにアグネスは身構える。男は微かに嘆息すると、アグネス達に、ある事実をもたらした。
「…先程、オークの援軍がここを囲みこんだ」
「…なんだとっ!」
途端に兵士達が戦慄する。

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