PiPi's World 投稿小説

大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 61
 63
の最後へ

大陸魔戦記 63

 バラッティにこんな突っ込みをされる時点で悟ったのか。シャンティはブツブツと呟き始めた。

「…ええ、そうですとも、わたくしが作りましたとも。バラッティにまで頭悪いと言われるような歌作って、それ歌いながら理想の娘さんとの逢瀬に思い馳せていましたとも。ええ、馬鹿ですよ。頭悪いですよ。え? なにか問題ありまして?」

 なんか開き直った感があるシャンティ。後ろからなんかよく分からないオーラがもうもうと出ている様に、バラッティも思わず後ずさる。
「いや、別にかまいませんが…」
 思わず口調が丁寧語になっているバラッティ。
「ともかくも、一つ聞きたいの」
「はい」
 ふつふつとこみ上げるシャンティの殺気。もうバラッティは逃げ出すこともできない。
「貴方の使い魔さんは、あの色ボケ淫魔兄妹の暴走のせいで、どこかいってしまった」
「はい」
「場所を知る手がかりはないのね」
「ありません」
「霊波をたどらせるとか、餌で釣るとか、呼び寄せる方法はないの?」
「スイマセン。ぶっちゃけ、あれあんま躾けてないんです」

 ブ…

「もう切れて暴走するのにも飽きました」
「楽しんでたんですか!?」
余りの言葉に、バラッティが思わず叫ぶ。しかしそれも一瞬の事。
「悪い?」
「いえ、結構なご趣味かなと思います」
 シャンティの殺気を込めた瞳に一瞥されただけで媚びへつらっている。見事な主従関係と言えよう。





 交商都市リオーネの朝は早い。

 織物職人の工房からは煙がもうもうと立ち上がり、大店の丁稚が店開きのための最後の準備をしている。その中をリオーネ市民軍の騎乗の一隊が欠伸混じりに朝一番の巡回をの行っている。市を囲む城壁の外からは、門を開けるのを待っているのだろう、行商人らの闊達な声―もっともそれは早く門を開けろ、といった類の罵声であったが―が聞こえてくる。
 行きかう荷駄。飛び交う声。
 実にリオーネは活気に包まれていた。

 昨日の惨劇など知らぬかという風に。

「…所詮はサンチェスの独走であったということか?」
 セリーヌが半ば呆れたように呟いた。

「あるいは、サンチェスの策が失敗したと知って、知らぬ存ぜぬを押し通すつもりかもしれないが」
 姫の疑問にジルドも思案顔で答えたが、傍らを通り過ぎる警邏隊の様子を見てため息をついた。
「この様子では、それもないな」
 初めは警邏の市民軍を避けていた三人であったが、見られてもこちらの正体を知らぬ者は無反応、知っていた者には敬礼を持って返されるとあれば、彼らが何も知らされていないのは明らかである。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す