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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 56

「そして、足りない物があればリオーネの市を利用する…と」
アグネスが付け足すように続き、ジルドは肯定するように頷く。
「準備が整い次第、兵士の安否を確認するために兵舎へと向かう。では、行こう」
そう言ってジルドはアグネスとセリーヌを外へと促し、自身は卓に広げた地図を畳む。そしてそれを持つと二人の後に続いていき、部屋を後にした。






暗い玉座の前に、唐突に二人の人影が現れた。玉座に座す男は頬杖をついたまま、微かに侮蔑の混じったような溜め息をつく。
「……無様だな、サンチェス」
だが、男の前でうずくまる二人は、局部を襲うおぞましい程の快楽を抑えるのに必死で、言葉を返す余裕すらない。その様子を半ば呆れ気味に眺めながら、男は責めるわけでもなく、ただ淡々と言う。
「リューンの姫君を手中に収めようと欲張った結果、己が生み出した魔性の快楽をその身で味わう事になる……くだらん茶番だな」
間を置いて呟かれた最後の一言には、リオーネを影で操っていた優秀だった手下に対する、僅かな失望がこめられていた。それに気付いたアメリアが、己を支配する疼きと主に対する畏怖で涙を流しながら、辛うじて絞り出した声で許しを乞う。
「おっ…お許しを…んんっ……殿下、あぁっ…」
しかし男は聞く耳を持たず、遠い目でぶつぶつと何事かを呟いている。
「…氷鎧の枷…挑戦状…八爪の担い手……何の意図があって、わざわざこんな事をする……」
左手が、頬杖をする右腕に触れる。きらびやかな装飾をもてあそぶわけでもなく、その手はゆっくりと上から下へと移動する。

袖の下に隠された、一筋の傷をなぞるように。

(…この世のどんな武器をもってしても傷一つつけられぬ我の体に、消えぬ傷跡を残した男……奴は、何を考えている…)
と、一際高い声が上がり、男の意識を引きずり戻す。鬱陶しそうに目を向けると、その先にはもはや息も絶え絶えのサンチェス兄妹が、未だ突っ伏していた。
「…許す」
気だるげにそれだけ言うと、男は指を鳴らす。ぴしり、という音が微かに響き、次いで何かが音を立てて割れた。
「但し、一つ条件がある」
局部を覆っていた氷の殻が無くなったのを確かめるように指を這わせていたサンチェス兄妹は、その言葉に顔を上げる。男はわざとらしく考えるような仕草をしてから、殊更ゆっくりと口を開く。
「…今この場で、互いの疼きを鎮めよ。さもなくばこの場で殺す」
すなわち、兄妹でまぐわえ―――男は、悪夢のような条件を提示したのだ。

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