PiPi's World 投稿小説

大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 53
 55
の最後へ

大陸魔戦記 55

言い出した当人が真逆の行動をする以上、その真意は聞き出す必要があった。
その意図を汲んだのであろうか、ジルドは特に迷うわけでもなく話し始める。
「旅慣れない二人を考慮して、だ。旅慣れた俺はともかく、知識などが不足している二人が不十分な装備で旅をするのは自殺行為だ。それに、二人を補うだけの食料を調達する自信もない」
「そうか……やはり優しいのだな、卿は」
セリーヌはからかうかのように、妖艶な眼差しを向ける。すると先程とはうってかわって、ジルドはあからさまに頬を赤らめ、そっぽを向いてしまった。
「か…からかわないでくださいっ。俺は、あくまで」「わかっておるぞ…♪」
そんなジルドの様子がおかしいのか、セリーヌは後ろから手を回して抱きつき、ゆっくりと、じらすように手を下へと這わせていく。ついでに口を耳元に近付け、甘く囁くように呟いてみせる。
「昨日のまぐわいで、充分過ぎる程にそれは感じておる…同時に、内に眠る猛々しい野獣の面も…♪」
「ひっ、姫…お止めください…!」
まるで形無しである。しかし、今は朝。
「…姫様、お戯れはその辺で」
多少棘の目立つ口調でアグネスにたしなめられ、セリーヌは少しだけ拗ねたような目を向けてから離れた。
普段の凛々しさからは想像できないが、実はセリーヌ、こう見えて人をからかうのが好きなのだ。しかしその一面を見せるのは、腹心の部下の中で最も信頼の厚いアグネスだけ。
セリーヌ曰く、「このような面など、信頼の厚いアグネスにしか見せられぬ」のだそうだ。つまり、本当にごく限られたその面をジルドに見せているという事は、ジルドを相当に信頼しているという事になる。
それも、体を許し合う程に―――
(む…いかん)
つい、昨日、自分が気を失っていた横で繰り広げられた情事に頭が向きそうになったアグネスは、慌てて思考を中断する。そして、それを悟られまいとして、敢えて棘のある口調を保つ。
「ジルド殿、姫は元々このような御方です。この程度で狼狽などなされませんよう」
「あ、ああ…わかった…」
ジルドはやけに棘のあるアグネスの口調に少々たじろぎながらも、顔を引き締める。そして二人を交互に見ると、ゆっくりと口を開いた。
「…では、まずはこのホテル内を探し、入れ物や食料、道具を探す。この中で事足りるなら、苦労はないからな」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す