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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 54

「ジルド殿、そなたの意見には一理あるが…まだ見てもいないのに決めつけるのは流石にいただけない」
それを指摘され、ジルドはばつが悪そうに顔をそむける。
「…失礼、暗く考えすぎたようです…しかし、可能性は充分あります。その時になってから用意していては、遅い場合もあります」
「……そうか。卿は用心をしていただけか。我こそ済まぬ、闇雲にいきり立つような事をしてしもうてな」
言いながら、セリーヌは頭を抱えた。
「…しかし、ならばどこへ向かうか…」
「…南へ、トルピアへ向ったらどうだろう?」
ジルドが呟くように言った。
「…何故トルピアへ?」
セリーヌが訳の分らないという顔でジルドを見た。
「トルピアは観光地です。敵もまさか南へ向うとは思いますまい。その上、これからの時期、トルピアは観光客の入りが増えます…」
「なるほど…人を隠すには人の中とな」
「…そうです」
ジルドは頷く。アグネスもその意見には賛成らしく、感心した様子で地図を睨む。
「…どうやら、地理的にも良いようです、姫。トルピアへの大きな陸路は、このリオーネからのもの以外にも、数多く存在します」
「なるほど…大量の追っ手を密かに送り込むとするならば、トルピアはあまりに無防備。敵も、わざわざ守りの薄い場所には行かぬであろう―――そう思うという事か」
セリーヌはアグネスの言わんとする事を的確に捉え、確かめるような口調で呟く。
そして、先程アグネスがそうしたように、リオーネからトルピアまでの道のりを指でなぞっていく。
「…では、決まりだな」
すっくとセリーヌは立ち上がる。それを見て、ジルドは傍らに立てかけたままの愛剣を担ぐ。
「では、まずは旅の道具を調達する必要がある。気配を探る限りでは誰もいないようだが……昨日の一件もある。面倒にはなるが、三人で行動するぞ」
「だが、どうしてここで調達するんだ?」
アグネスはもっともな疑問をぶつける。
確かにリオーネが危険ならば、多少のリスクを負ってでも早急に離れるのが得策である。しかし、ジルドが提示したのはその逆―――町にとどまるというリスクを負ってでも旅の支度をする、というものだった。それも、早急に町を離れるべきと真っ先に提案したのは、ジルドである。

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