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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 53

「いや、襲われて倒れた次の日にあれでは、誰でもああする。謝るのはこちらの方だ。まあ、それはさておき…」
寝室の隅に立て掛けておいた自分の愛剣を担ぐ。そして、かねてより用意してあった一枚の羊皮紙―――リューンブルクを中心とした世界地図を卓に広げ、ある一点を指した。
「ここがリオーネ、現在地だ。ここは幾つもの街道が重なり、様々な町への行き来を容易にしている。まずはその街道に沿って行くのが得策だと、俺は思う」
「正論だな。して、どこへ行くのだ?」
長い髪を結わえながら、セリーヌが地図をのぞき込む。
「行き先は実質三つ。まず、南へ行くとトルピア。リゾート地と貿易地を兼ねた、南国の港町。
東はノアリーゼ。傭兵が多く、情報には何かと便利な町だ。
北はコルティス。ここに行くとなると、専用の装備が必要になる。
ここからまっすぐ行けるのは、この三つだ。ちなみに西はリューンブルクだが…昨日の今日だ。おそらくオーク達が駐留している」
「つまり、逃げ道を増やすか、情報を優先するか、追っ手を阻むか…そのいずれか、というわけだな」
セリーヌの問いかけに、ジルドはこくりと頷く。そして、窓の方を見やった。
「…一応言っておきますが、三人だけの旅になる、という事を多少は視野に入れて、考えてください」
不意に告げられたその言葉に、アグネスは地図から目を離し、険しい表情で窓を見やるジルドに向ける。
「…ジルド殿、それは一体、どういった意図で…?」
怪訝そうに問いかけるアグネスだが、内心ではどこか納得していた。
話を聞く限りでは、別室に別れた近侍は、昨日の時点で殺されていた。理由はおそらく、騒がれるのを恐れたのと、姫の守りを手薄にするための二つであろう。だとするならば、兵舎にいるはずの負傷兵達も、「守り」と見なされている可能性がある。ならば、近侍と同様に殺されているかもしれない。
そんな内心の考察を肯定するかのようにジルドは頷き、二人に説明を始める。
「近侍は昨日の襲撃の際に消されています。おそらく、密かに抹殺されたのでしょう。
相手からすれば、姫を殺すにしても手籠めにするにしても、守りは邪魔なはず。だから消した。ならば、兵舎にいる負傷兵達も同様に見なされている可能性があります」
「見たわけではなかろう!」
兵士想いのセリーヌは、兵達が既に死んだかのように話すジルドに対し激昂する。そんな彼女をアグネスは抑えつつも、ジルドに非難の目を向ける。

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