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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 52

肩を震わせる彼女を落ち着かせようと、二人は抱き合っている事すら忘れて事の子細を説明しようとするが。


くちゅり

「ふあぁっ…」



「……こんの…狼藉者がぁぁぁぁぁっ!!」
「お、落ち着けえぇぇぇっ!!」


セリーヌの妖艶な喘ぎ一つで、全ては無駄なあがきに終わった。


その後、「姫様をたぶらかすのが目的だったか!」といきり立つアグネスをなだめるべく、セリーヌは今に至る経緯をかいつまんで説明した。
ちなみにジルドはひとまず浴室に退避させられ、昨晩の情事による汗を洗い流している。
「それと誤解せぬようにするために言うておくが、アレは我の方が求めたのだ。そこは、間違えるでないぞ」
「…畏まりました…」
自分の間違いを恥じ、すっかり縮こまってしまったアグネス。しかし内心では、非常に驚いていた。
(まさか、あの姫様が自分から…)
セリーヌは殿方の理想が非常に高い事で有名だった。幾度となく設けられた見合いの場でも、セリーヌは理想でないと判断した時点で姿をくらまし、今は亡きリューン王を散々困らせていた。
そのセリーヌが―――媚薬や心の重圧などの影響があったとはいえ―――自分から抱かれる事を望むとは。
おそらく精神的に追いつめられたセリーヌにとって、自分を助け出し守ってくれたジルドは、余程頼もしく見えたのだろう。
(それにしても…)
一方でアグネスは思う。セリーヌを連れ去り亡き者にするならともかく、話を聞く限りでは隷属させようとしていたかのよう。果たしてそうする事に、どんな意味があるのだろうか。
(…いや、今は考えるまい)
相手の意図はともかく、今はこれからどうするかが大事。
姫が狙われているとわかった以上、できる限り早くリオーネを脱する必要がある。
「…一応、誤解は解いてくれたか?」
アグネスが思案を始めた時、ようやく汚れを洗い落としたジルドがやってきた。服装は既に、いつもの旅装束である。
「ああ、ジルド殿か……先程はすまない、誤解などしてしまって」
アグネスは申し訳なさそうに頭(こうべ)を垂れるが、ジルドは、気にしていない、といった様子で肩をすくめる。

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