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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 6


いくら斬ってもわいてくる獣人達に嫌気がさしたのか、男は巨剣を天にかざし、深く息を吐く。
「…いい加減決めるぞ、相棒」
巨剣を静かに下ろすと切っ先を後ろに向け、オーク達を見据える。それを好機と見たのか、生き残っていた者、隅に隠れ事の成り行きを見守っていた者が一丸となって、男に襲いかかる。
今度こそ終わりだ、と落胆の声を上げる兵士達。アグネスも絶望しかけたが、ふと目に入った巨剣の周りに何か違和感を感じる。まるで、景色が揺らいでいるかのような。
何だ?そう思った、その時。



「…舞え……紅蓮の翼ぁっ!」
怒号と共に、剣を振り上げる。凄まじい勢いで擦られた地面から炎が生じ、刃を包み込む。そしてそれは天高く振り上げられた事により長く、そして紅く燃え盛る、炎の刃と化す。
すかさず握り手の向きを変え、炎の刃を獣人の群れに叩きつける。
大地を焦がし、攻めくる者をなぎ払い、そして焼き付くし。一団を二つに分かつその一撃は、からくもそれをよけた者にすら、灼熱の熱波を見舞う。
熱波は微かにだがアグネス達にも迫り、兵士達はとっさに互いの身を庇い合う。
そして、炎の刃が大地と重なり合い、不意に凪いだ風によってかき消えた時。
「……あり得ん…」
アグネスの口から、驚愕の言葉が漏れる。
男の前に立ちふさがっていた獣人達は大半が絶命していた。
体を真っ二つに裂かれ。
炎の刃に焼き尽くされ。
払い落とされた矢に貫かれ。
そして生き残った者達も、腰が抜けて立ち上がることすら叶わない者ばかり。

「…いつもなら、女性の操を奪っている時点で誰一人生かさないが……今回は別の用事がある。わかったら、さっさと消えろ」
それだけ言うと男は、再び剣を握り直す。それを敵意と感じ取ったのか、まずオークの小頭が逃げ出す。そして後に続くように、手下が次々と逃げ出していく。
生き残った群れがほとんど見えなくなった頃になって、男はようやく息をつく。ずっと背負っていた鞘を地面に下ろすとさっさと巨剣を収め、再び担いだ。
「…おい、そこの女」
アグネスは自分のことだろうと思い返答した。
「…なんだ?」
「この国には姫がいただろう、どこだ?」
「…貴様は何者だ?姫様に何の用がある?」
男は嘆息し答えた。
「俺の質問に答えろ。姫はどこだ?」
口調こそ質問の形をとっていたが、それは命令以外の何物でもない。
「………」
アグネスが黙っていると、男は柄に手を掛けた。
その時、男を遠巻きに警戒していた騎士達がその男に斬りかかった。
男は騎士達を一瞥すると、大剣を抜き、構えた。
「…お前達には用はない。邪魔をするのならば…俺に喰われろ!」

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