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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 43

しかし、先程までいた淫魔に連れて行かれたのか、その姿はどこにもない。
セリーヌの身を第一にと考えていたジルドはそこで諦め、早々に地下室を後にした。

しかしこの時、セリーヌの身を気遣う余りに大切な事を、ひとつ忘れていた。



媚薬というのは総じて、放っておいて抜けるような代物ではない、という事を。




ひとまず部屋に戻ったジルドは、気を失ったままのアグネスと意識が朦朧としたままのセリーヌを寝室のベッドに寝かせ、自身はその近くに控える事にした。
(……近侍は全滅。兵舎にいる兵士達も、もしかしたら既に…)
思案の途中、傍らに立てかけた愛剣に目をやる。
(…”氷”か。随分と久しぶりだったな…炎以外を操った事なんて。そうだろ、相棒?)
我知らず、笑みがこぼれる。しかしその笑みも、これからの事を思うとすぐにかげってしまう。
(俺の目的は、まだ達成されてない。姫君を見つけたはいいが、まだそれだけ。加えて姫があちこちで狙われているというのは、さっきの事からも明らか。否が応でも共に行かねばならない…)
その場に座り込み、絨毯の流麗な模様を凝視したまま、なおも熟考する。
(問題は、この先。リオーネが危険とわかった以上、明日にでもここを出なければならない。となると最低三人分の旅道具一式を…)
と、その時。
「…うぅん…」
妙に艶めかしい声を上げながら、セリーヌが身を起こした。
「…気がつかれましたかな」
座りこんだままセリーヌに微笑みかける。
「……」
しかし、セリーヌは惚けたような顔で、ただジルドを見つめるばかり。その様子に違和感を感じつつも、ジルドはつとめて明るく振る舞う。
「何か御用向きは御座いますか?私めにできる限りの事で御座いましたら、何なりとお申し付け下さい」
その丁寧な口調に、セリーヌの瞳に微かではあるが、光が戻る。彼女はよく回らない頭でしばし考えた後。
「…すまぬが、我の傍に来てはくれぬか」
頬を赤らめながら、そう言った。
何故頬を赤らめるのか不審に思いながらも、ジルドはセリーヌのベッドに歩み寄る。同時にセリーヌも、掛けられたシーツをゆっくりと払いのける。
「…何用に、御座いますか」
恭しく跪き、頭(こうべ)を垂れるジルド。
「……」
セリーヌは、ただジルドを見つめるばかり。かと思うと、その体が揺れ動き―――



ジルドに、のしかかった。



「なっ!?何をなされますか、姫!?」
突然の事に思考が追いつかず、素っ頓狂な声を上げてしまう。

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