大陸魔戦記 37
兄と妹が、人を人とも思わぬ口ぶりで会話を交わした後。
「さてと、殿下」
殊更に丁寧な言葉で皇女に呼びかける。
「完璧な赤を作るのは、鉛を金に変えるよりも尚難しい…リオーネに伝わるこの諺をご存知であられますか」
「…な、何を言っている?」
少女のあまりの痴態に、完全に目を奪われていたセリーヌは、状況とかけ離れたとも言えるディリズの台詞に、何事かと身構える。
「まぁお聞きくださいませ。リオーネは羊毛と綿を買い、織物に紡いで売る事によって成り立っております。ために、最も高貴なる色、赤を織らんと代々心砕いて参りました。これがなかなかに難しいのですが、その過程で思わぬ収穫もあります」
アメリアが進み出、その手の内にあるガラスの小瓶を見せる。見事な彫刻が施されたそれの中には、どす黒い赤の液体がゆらり、ゆらり、と揺れている。
「例えばここにある”ブラッディ・ローズ”。名前とは裏腹に、その正体は南ベルクの山々に生息する魔蟲の体液でございまして。この魅惑的な琥珀の液体は、なんと染色の段階で色が消えてしまう。しかし試行錯誤の末に、ある工程を踏んで加工すると別の用途で使える事が分かりましてね」
「まさか」
ディリズの言わんとしている事を察し、皇女は青ざめる。
「そう、そのまさか」
ここにきて、ディリズはその口調を一変させて――
「お高くとまったメス犬には、ちょうどいい薬になるのさ」
その頬を禍々しい笑いに歪ませた。
「さて、さっさと犯っちまおう」
そういって、肉欲を滾らせた瞳を爛々と輝かすディリスであったが。
「あら、せっかくの極上の獲物なんですのよ? 簡単に壊してしまってはつまりませんわ。計画通りにやってください」
唇を尖らした妹に、阻まれる。
「ちっ、そうだったな。まずは、てめぇにくれてやる」
「そんな恨めしそうな顔をしないでくださいませ。処女はちゃんととっておきますわ」
「どうだか」
そういうと兄の方は、嬌声を上げる己の奴隷を持ち上げる。
「ひゃんっ」
「お、いい具合になってるな」
少女の上半身をベッドに乗せ、確かめるようにその秘処を覗き込んだ後。
「おらっ」
いきなり、後背位で貫く。
「あはぁ、ん、あひゃうぅ!」
途端に一際高く、少女が叫ぶ。だが、直ぐに顔をだらりと蕩けさせて、媚びるようにディリスを受け入れる。
「いいのっ、やっぱりチ○ポ、チ○ポぉ、たまんないのぉ」
「へへ、やっぱぶっ壊れてやがる」